教育実習生と生徒 (ページ2)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:8,078 hit

. ページ2

探すって言ったってどこにいるんだ。

そもそも、手がかりが《永瀬》って名前だけ。
あとは男の子ってことだけ。

んー、とりあえずサボるってなったら保健室か屋上かな。

『失礼しまーす。永瀬くん、いますか。』

しーん。

誰もいない。保健室の先生もいないのか、じゃあ次の場所を探そう。

保健室を後にして、屋上へと向かったが、そこには誰もいなかった。

『なーんだ、いないじゃん。どこにいるのよ。』

そんなことを思いながら廊下を歩いてると前に人影が見えた。

しかも男の子。思わず声をかけてしまった。

『あの…っ、もしかして永瀬、くんだったりする？』

「はあ？お前誰やねん。」

振り返ってびっくり。悪態ついて睨んでくるけど、高校生とは思えない綺麗な顔つき。
今時の高校生やっぱりこわい。

『えーっと、教育実習生の朝比奈Aです…あの、君のこと探してて…授業出てくれませんか。』

「俺、授業嫌いやねん。出んでも自分で勉強できるし。どうせ、櫻井に頼まれたんやろ」

まさにその通りなんです、と思いつつ彼が何故拒むのかを考えた。

相当優秀なのか、クラスが嫌いなのか。
どっちかはわかんないけど、とにかく出てもらわないと私の課題が進まない。

『それでも、出てほしい。とりあえず一回でいいから。今日の4限私の授業だから来て。待ってるから』

思わず言い逃げしてしまった。

なんか、調子狂うなあ。

はじまってすぐ、問題児の対応とはついてないというか、これから先が思いやられる。

でもなんとなく、彼は来てくれるような気がした。