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ロボットと後輩の過去 ページ3

時は進み部活終了後。




「ほな話聞かせてもらおか。このあと体育館閉めなあかんから手短にな」




仏頂面の鹿島くんに北さんはそう告げボールを磨き始める。



なんとなく私たちもそれに倣い、各々ボールを磨き出す。




「俺、転勤族で小さいころから引っ越してばっかりだったんですよ」



ぽつりぽつりと鹿島くんが話し始めた。



「友達も、できたと思ったらまた引っ越しだし。


母さんも父さんも仕事で忙しくて、よく家で一人でいることが多くて。



親は俺のこと放置してるって分かってたから、


基本どんなわがままも聞いてもらえたし、欲しいって言ったらすぐ手に入った。



だから、バレーもやりたいって言った次の日にボール買ってもらって、

チームにも入って、



たまたまかどうかは分からないけど才能に恵まれて、


どんどん、バレーが大好きになった。



中学になって部活に入ったのはしつこく勧誘されて、

ちょっと天狗になって。



それでも周りには俺よりも強いやつがいっぱいいて、

強いやつらと戦うのが楽しくてしょうがなかった。



高校はバレーの推薦で。


高校卒業までは引っ越す予定もなかったから安心して部活に打ち込めた。



先輩も同級も強いやつがいっぱいいて、


180超えなんてゴロゴロいたし、

主将はゴリラみたいなサーブ打つし、

エースはその名の通りのエースだった。



二年のインハイ予選で初めて試合に出た。

先輩のリベロが足を捻挫して俺はその代役。準決で、相手は全国常連校。



戦況はよくなかった。

あと三点取られたらこっちの負けっていうギリギリの局面。


ぶっちゃけベンチで応援してた俺から見ても逆転は絶望的。



なんで今呼ぶんだって思った。


せめて最初から出てたら活躍できたかもって。



俺だけ冷めててさ、先輩は皆真剣な目してんの。ヤバいかもって思った。



こんな気持ちじゃヤバいかもって。



当然相手側に目をつけられた。サービスエース二点も取られて、もう最悪。



その後エースが一点取り返してくれたけど悪あがきだった。



準決で負けた。俺のせいだ。



それから部活に出るのが嫌になって、一ヶ月したくらいに急な転勤が決まって。



何も言えずに転校した。




だから、西城のみんなに合わせる顔がない。俺は弱虫だから」





鹿島くんは気づいたら泣いていて、私は背中をさすって涙をぬぐった。




初めて鹿島くんの男の子の顔を見たような気がした。

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結心(プロフ) - りおん。さん» ええ一気読み!めっちゃ嬉しいです…。更新頑張らせていただきますね〜〜! (2021年2月28日 20時) (レス) id: ae07f72a57 (このIDを非表示/違反報告)
りおん。(プロフ) - 一気読みしました!待ってます。 (2021年2月28日 17時) (レス) id: 5ba492e76b (このIDを非表示/違反報告)
結心 - ピさん» わわわ…素敵な感想ありがとうございます。銀島くんですかなるほど。もっとたくさんのキャラと絡ませられるよう頑張りますね〜〜! (2021年2月26日 17時) (レス) id: ae07f72a57 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めっっっっちゃ好きです!銀島との絡みが欲しい (2020年12月26日 6時) (レス) id: 2fa8d35dd6 (このIDを非表示/違反報告)
結心 - レイカさん» わわわ…!優しい言葉をありがとうございます、!元気が出ました。更新、頑張らせてもらいますね (2020年10月10日 17時) (レス) id: ae07f72a57 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:五百雀 x他1人 | 作成日時:2020年8月5日 17時

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