萩月《∞》2 (ページ26)

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隆平さんを見送ると、お弁当のおかずの続きを作っていた。隆平さんの、喜ぶ姿を思い浮かべながら作ると、いつもより楽しく、早く作ることが出来た。隆平さんが大好きな、唐揚げを沢山入れて、バランス良く彩も考えて、野菜のおかずも2品入れた。

お弁当が出来上がった頃、タイミング良く、隆平さんが帰ってきた。

『お帰りなさい。』

『ただいま。』

『隆平さん、珈琲淹れるから。ソファーに座ってて。』

『A。』

『なぁに?』

『パン屋さんさんの近くで、いい香りがしたから、路地に入って行ったら、珈琲のお店があって。テイクアウト出来たから、買ってきた。』

ニッコニコで隆平さんが、珈琲の入った手提げの紙袋と、パンの入った紙袋を渡してきた。

『ありがとう。』

受け取ると、パンをお皿に並べて、珈琲と一緒に、ソファーの前のテーブルに置いた。ソファーに2人で座って、

『いただきます♪』

珈琲を一口飲んだ。凄く飲みやすくて、美味しかった。香りと味が知りたいから、ミルクを入れずに飲んで正解だった。程良い苦みで、酸味が少なくて、私好みの味だった。

『隆平さん、珈琲美味しい。』

『良かった。』

『Aが最近、珈琲が飲めるようになったって言ってたから、お店の人に聞いて、香りが良くて飲みやすい、珈琲を買ってきたんや。』

『そうだったんだ。ありがとう。』

嬉しくて、つい隆平さんの手に触れると、優しい笑顔で私の手を取ると、指を絡めて握って、

『Aの、その喜ぶ可愛い顔がみたいから、俺は何でもしたくなるんやで‥。Aの笑顔を見てたら、ほんまに好きやなって実感するわ。』

その笑顔と、隆平さんの思いのこもった言葉を聞くと、私も好きだなと思ってしまう。