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【NOside】
予想外の五条の帰宅にAは見上げたまま少し困惑する。
まさか予定よりも早く帰って来るとは…油断していた。
五条はAに近付き、サングラスを外す。
表情から笑みが消えるとそっと彼女の両頬を大きな手で包んだ。
五条「やっぱり帰ってきて良かった…」
親指がそっと目元をなぞる。
五条「隈、出来てるね。眠れてないの?」
寝られていないのは図星だが、その理由まで探られるわけにはいかない。
どうにかして嘘を付こうと考えるが、頭が回らない。
全て見透かされているような美しい蒼眼にどこか恐怖を感じる。
五条「悩み事?何かあった?」
優しい声色でそう問いかけられて瞬間、堰が切れたように涙が溢れ出た。
ボロボロと止めどなく、流れる涙に五条は「え…ごめん…」と慌てて指で拭う。
Aは目をぎゅっと閉じ、子供のように泣きじゃくる。
五条「ちょ、ホントごめん…泣かせるつもりじゃ…」
A「……ぇない…」
五条「A?」
A「言えない…ッ」
───あなたが殺したはずの親友に会った…
そんなこと、言えるはずがない…。
A「ぇんな、さい…ごめん、なさい…」
五条「謝らないでいいよA。Aは悪くない。ごめんね」
五条は何度も謝る彼女を強く抱き締める。
真実も言えず、嘘も言えず、涙を流す理由を口に出来ないAはだたひたすら逃げるように泣き続けた。
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更紗和金(プロフ) - マリオットさん» 一気みしてくださったとは…とても嬉しいです。こちらこそこんな自己満足作品を読んでいただきありがとうございます! (2022年10月2日 18時) (レス) id: b1ab373c3f (このIDを非表示/違反報告)
マリオット - 一気みしました!!すごいです!この小説書いてくれてありがとうございます!! (2022年10月1日 11時) (レス) @page3 id: 4a1e7dbbbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:更紗和金 | 作成日時:2022年9月25日 18時