堪忍袋の緒が切れた。2

まじいい加減にしろ2 ページ2

「Aちゃん手際いいね！」

『そうですかね？』

「料理上手〜」

と梟谷のマネージャーさんであるかおり先輩と雪絵先輩が、夕飯の支度をしている私の手元を見て褒めてくれる。

真凛ちゃんに嘘を叫ばれたせいで美人マネージャーさんたちと気まずくなるかなって思ったけど、普通に関わってくれるしいい人たちだ。


『うち母子家庭で、弟がいるので料理は慣れてるんです』


弟元気かな？中学から白鳥沢に入り寮暮らしで、しばらく会ってない。水泳部のエースらしい。


「お、弟さんいる感じしてましたっ！」

『何で？』

「日向たちのあやし方が」


やっちゃんと潔子先輩に言われて、つい笑ってしまう。あやし方って。


『確かに翔陽とかリエーフとかは弟みたいですね〜。可愛くてつい頭撫でたりしちゃいます』


「(日向かわいそう…)」



やっちゃんが微妙な顔をしているな。ま、まさかっ！！


『やっちゃん！大丈夫！！翔陽のことは弟としか見てないし、翔陽もそうだと思うから！私応援するよ！！』


「えっ？！ち、違います！！！」

「うわー。こりゃ手こずるぞー。」

「木兎かわいそう〜」


応援すれば慌てて否定される。翔陽まだまだ幼い感じするけど、かっこいいし優しいしいいと思うんだけどなぁ。


「す、すみません！遅れましたっ！」


「あー、えっと、如月さんだっけ？」

「はいっ！選手のテーピングしてて…」


はい、うそー！！お前テーピングできねぇだろ！と思いながら無心でじゃがいもを切る。


「次からは気をつけてね〜。そこの玉ねぎ切ってくれる〜？」


雪絵先輩がそういえば、真凛ちゃんは凄い笑顔で返事をして作業に取り掛かる。


「ねぇ。大丈夫なの？なんか揉めてるっぽかったけど」


『大丈夫です。』


かおり先輩が心配して耳打ちしてくれるので、笑顔でそういえば安心したように自分の仕事に戻った。


「如月さん。玉ねぎの切り方しらない？」

「うっ。私、包丁とか危なくて持ったことなくて…」

「わかった。じゃあ、あっちでレタス洗って食べやすいようにちぎってくれる？」

「わかりました！」


潔子先輩に言われて元気よく水の入ったボウルを持ってこっちへ走ってくる真凛ちゃん。



この文章でお分かりいただけただろうか。


「きゃっ！！」


バッシャーーン！



『………』


「ご！ごめんなさい！！！」

「Aちゃん大丈夫？！」


「あわわわわわ…！！」



頭から水をかぶってびしょ濡れになった。

くそったれ。

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