堪忍袋の緒が切れた。

ご対面5 ページ41

結局、音駒と梟谷の試合は梟谷の勝利で幕を閉じた。


「俺って最強ォーー！！へいへいへーい！」


喜ぶ木兎さんにセッターの人は真顔で「今日は調子いいですね」と言っている。


「くっそ。木兎のヤロー調子よすぎだろ」

「あんな調子いいの初めて見た」

「ストレート上げんの結構キツかったわぁ」


『皆さんお疲れ様でした！ドリンクとタオルどーぞ！』


悔しそうに帰ってくるみんなにドリンクとタオルを差し出せば、ピシリと固まる皆さん。


『どうしました？』

「あ、いや。マネージャーっていいな」


そう言ったあとさんきゅ。と言って受け取る黒尾さんに他の人は二度ほど頷いている。



「で？どーだったよ。俺らの試合は」

「負けたけどね」

「研磨。そう言うこと言わない」


海さんが優しく笑いながら孤爪くんにそう言っているのを見てほんわかする。あの人、絶対前世仏だな。



『正直びっくりしました。こんなに守備力の高いチームはなかなかいないと思いますし、特に夜久さんと海さんの上手さには驚きました。イケメンすぎました。』


「えっ？！あ、ありがとう！」

「嬉しいよ。」

「何照れてんだよ。」

「う、うるせぇな！！」


照れていることを黒尾さんにいじられ顔を赤くしながら怒る夜久さんと仏のように笑う海さん。


『あと、猛虎の攻撃力の良さと、福永くんの静かにスーパープレーしちゃうところとか凄かったです！』

「ブッ！！！！」

「……」ｿﾜｿﾜ


また鼻血を吹き出して倒れる猛虎と、嬉しいのか何なのかソワソワとしている福永くん。


『黒尾さんのブロックの上手さと安定したレシーブ力。弧爪くんの頭のキレる判断の良さ。感激しました！』


「あー。面と向かって言われると照れんな」

「研磨もちょっとは喜べよっ！」

「…別に。」


照れながら頭をかく黒尾さんと、恥ずかしそうに目線を逸らす弧爪くん。


「俺はっ！！！！」


『リエーフは、レシーブもうちょっと練習した方がいいね。』


「えー！俺も褒めてくださいよ！！！」

「上手くなってから言えっつーの！」


夜久さんにお尻を蹴られて痛がるリエーフに、ちょいちょいと手招きして、屈むように言う。


『でも、スパイクは凄いかっこよかったから、これからも頑張んべ！』


そう笑って頭を撫でれば、パァ！と顔を輝かせる。最近の年下は可愛い子揃いだな。


「俺の彼女になってくだ『あ、梟谷の人に挨拶してきまーす』


「おー、行ったらー」


「見事なスルーだな。」

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