堪忍袋の緒が切れた。

いい加減にしたまえ5 ページ26

『まじでいい加減にしろよ？』


そう言って、真凛ちゃんとの距離を詰めようとした瞬間。


「てんめぇええええ！！！ウチのAに何してくれたんじゃぁああああ！！いてこますぞ、こらぁぁあああ！！！！」


「きゃあ！」


『ちょちょちょっ！かおりん！！』



急に飛んできた私の相棒である上坂香織。通称かおりん。かおりんはヤンキーである。もう一度いう。頭はめっちゃいいし、運動神経も抜群だけどヤンキーである。


「な、んなんですかっ！」

「今ウチのAにビンタしよったな？！見てたで！！何してくれたんじゃボケ！！可愛い顔に傷ついたらどないすんねんっ！！」


あと関西人である。高校から東京に来て、馴染めないと嘆いているが、私はかおりんが凄く大好きだ。しかし、私のことになると結構頭に血が上りやすい。


周りもヤンキー来たぞ！？やばくね？！という雰囲気になっている。


「ちょっと！真凛ちゃん怖がってんじゃんか！」


「……誰か思ったら鰹節か。」

『ブフッ！』

「絶対Aちゃんが仕込んだよね？！」


仕込んだなんて滅相もない。かおりんが鰹節って言い始めたんだぞ。


『とりあえず行こう、かおりん。昼休みが勿体ない。』

「え？いいん？！こいつ私が殴ったろか？！」

『それじゃあ、かおりんが悪くなるでしょ？』


だーめ。とかおりんの背中を押して売店の方へ行かせる。


そして、真凛ちゃんと距離を詰め私より背の低い彼女を見下ろす。



『一方的に殴ったのはあんただから。それはここにいる皆が見てることだから。』


「っ！だって、それは！」


『みんなのモチベーション上げんのがマネージャーの仕事。みんなのサポートするのはマネージャーの仕事。目立ちたいなら辞めろ。』


「…辞めたくせに偉そうに。」

「真凛ちゃん…？」


キッと私を睨む真凛ちゃんに及川さんはギョッとした顔をしている。この子気が強いの気づいてなかったんだ。


『私が辞めてせいせいしてるなら、ちゃんとマネージャーの仕事して選手をサポートすれば〜？いつまでも私のせいにしてんなっつーの！』



べーっ！と舌を出して、立ち去る。

最後真凛ちゃんから舌打ちが聞こえたが、気にしない


「大丈夫なん？」

『んー、平気じゃない？そろそろ鰹節も気付き始めてるみたいだけど。』





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いてこますぞ＝喧嘩の殺 すぞの意味合い。

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