君との距離は数センチ (ページ5)

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story5 ページ5

your side

全員が着席したところで

あ「今日は古文です。短歌集59ページを開いてください」

"それとなく紅き花みな友にゆづりそむきて泣きて忘れ草つむ"

この歌以外と私好きなんだよね

ちょっと悲しいけど、芯がある女性のようで

教科書を持ち

そう思いながら音読をすると

黒「ねぇせんせ？意味わかんない」

頭の上に沢山ハテナを浮かべる黒田くんが

私に向かって言った

あ「これはね、気が付かれないように、華やかな恋を友達に譲って、私は二人に背を向けて想いを忘れようと忘れ草を摘んでいます。という意味なの」

元「てことは、この人は好きな人友達に譲っちゃったって事？」

あ「うん。そういうことになるね」

黒「えー、俺Aちゃん譲ってってひらつに言われても無理だなー。この人優しすぎない？」

平「え？？？俺そんな事言わないよー！」

なんて何も関係ない平塚くんを巻き添えにして

空想話をする黒田くん

あ「そうね、みんなももっと沢山恋をしたらこの気持ちが分かるようになるかもね」

まだまだ学生。

ましてや17歳、18歳のこの子達には

早いかもしれない

そんな事を思っていると

内「先生は譲ったことある？」

あ「え！？」

内村くんがにこにこ笑顔で聞いてくる

あ「先生のプライベートの話は今は違います！」

黒「え！Aちゃん彼氏いるの！？いないよね！？いたら俺泣く」

サラッとかわそうと思ったのに

目をウルウルさせながら聞いてくる黒田くん

黒田くんの頭たれ耳付いてない？

私にはそう見える笑

その時

キーンコーンカーンコーン

良いタイミングでチャイムが鳴った

あ「はーい授業おしまい！みんな今日の短歌意味も揃えて覚えておいてね」

全「はーい」

誰かに捕まっちゃ困る！

そう思った私は

クラスを足早に去った