君との距離は数センチ (ページ17)

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～過去～

檜「ん、お母さん…？」

夜寝ていたらなんだかトイレに行きたくなって

そろそろとリビングに向かった

もう深夜なのにリビングの明かりが付いていて

恐る恐るリビングを覗くと

スマホを握りしめて泣いているお母さんと

お母さんの背中を摩るお父さん

俺もその時はもう中学生で

あの2人に関係する何かに

何かあったなんてすぐに分かった

檜「お母さん、どうしたの？」

俺がそう聞くと

檜母「えりちゃんと…ひできさんが事故に…あったって…」

檜「え…それってAの…」

その日はAちゃんが

あ「今日はママとパパ2人でドライブなんだって。私もそういう仲良しな夫婦になりたいな～」

さっきまでうちで一緒に夕ご飯を食べているときに話してた

ずっと泣き続けているお母さん

待って…

Aちゃんはどこ…？

俺は急に不安になり

バタバタバタっ！！！！

檜父「光成！どこ行くんだ！？」

お父さんがそう叫んでいたけど

それさえももう聞こえなかった

そんな事今はどうでも良い

ただただ彼女が…Aが心配だった

ピンポーン

ピンポーン

ピンポーン

ピンポーン

何度鳴らしても家から人が出てこなくて

檜「Aちゃん！いる！？いたら返事して！！」

分厚いドアに向かって思いっきり叫んだ

すると

ガチャ

鍵が開く音がして

ドアノブを引っ張り開ける

その先に見えた廊下は真っ暗で

玄関のすぐ近くの壁で泣き崩れているAちゃん

檜「Aちゃん！！！！！」

俺は慌てて肩に手を回す

あ「ママ、パパいなくなっちゃったの…？」

檜「大丈夫。俺がいるから大丈夫」

あ「光成…」

檜「今は沢山泣いていいよ。俺が側にずっといる」

さっきのお父さんのように背中を摩りながら

一晩中彼女に寄り添った