17.白い闇(×in) ページ43
温度も湿度も快適で、埃ひとつない
その部屋で俺は今日も彼を待つ。
鍵の掛かった格子窓、細かいレースのカーテ
ンで遮られた日差しは白けた細い光の線にな
って降り注ぐ。
部屋の真ん中に設えた真っ白なソファーに丸
くなり、自らの膝に顔を埋めた。
洗いざらしの白シャツからは柔軟剤の甘い香
りがして、麻薬みたいに俺の思考を鈍らせる。
だって、これは彼の香りそのものだから。
ゆっくりと息を吸い込めば身体の奥がじんわ
り熱くなる様だった。
壁紙も床も天井も、センスの良いシンプルな
家具さえも全てが真っ白なこの部屋では時の
流れにさえ色が無い。
季節や時間、果ては自らの名前さえ忘れてし
まいそうになる。
ズルズルと床に座り込み、仰向けに寝転んだ。
手を伸ばしてみたけれど細くて生白い両腕が
天井の白に溶けるだけ。
漏れ出るため息を飲み込んで、今度は床にう
つ伏せる。
頬をピタリと押し当ててひんやり冷たい感触
に目を閉じた。
………
“けい、”
名を呼ばれるとそれだけで身体が震える。
頭の先から指の先まで支配されいつだって自
由が効かない。
“どうして欲しいの？”
答えられないと分かっていながら、毎度耳許
で囁きクスッと笑う彼。
既に指先は胸元を行き来して、いたずらに愛
撫を繰り返す。
「……、ん、あぁ、ん」
漏れ出た吐息は程なく彼の欲望で塞がれて、
溢れる蜜をこくりこくりと嚥下する。
頭を撫でられる心地好さを思うだけで、達し
てしまいそうになる俺を嗜めながら彼はまた
耳許で囁く。
“勝手に逝っちゃダメだろ、”
あぁ、目の前がチカチカする。
真っ白な部屋には逃げ場がない。
「……ごめんなさい、ぁ、んん」
ひとつになって揺れる影が、粘着質な水音が
俺の理性をどこまでも狂わせる。
「も、っと……もっと、して…ぇ」
うっすら開けた瞼に映るのはやっぱり
白、白、白。
この汚れのない空間に俺の鳴き声だけが満ち
ている。
止まらない快楽と彼への思いで俺だけが淫ら
に色づいていく。
もっと、もっと、もっと……
………
真っ白な床、ガリガリと爪をたてたそこだけ
が黒く細かい傷跡を残す。
彼を思い彼に抱かれる夢を見ながら、込み上
げてくる熱と限りない焦燥に耐えるため。
真っ白な部屋には逃げ場がない。
どこにも隠れる場所がないから、
ーもうあなたの事しか考えられないー
早く帰ってきて、
早く俺を満たして、
早く俺を愛して下さい
＊end＊
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ぴよ(プロフ) - ありがとうございます( ´∀｀)少しずつ書いたお話たちが一杯になりました！短いので設定もある程度自由に楽しく書いています。気になるお話があれば嬉しいなぁ思います♪私も読んで頂けて幸せです＊ (2017年10月15日 18時) (
レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーご - こんにちは、ぴよさん。今まで読みたい〜って思っていた場所のお話が読めて幸せです。公開ありがとうございます。 (2017年10月15日 16時) (レス) id: 291fc33caa (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - みるみるみるきーさん» グランマニエとか 笑 私たちにはやっぱり有閑倶楽部なのでしょうかね。学園ものは王道ですが間違いないわくわく感が味わえますね( ´∀｀)楽しい♪ (2017年9月22日 13時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - ナイスですな、有閑倶楽部風味♪私もわかりましてよ。まあ、今の子なら桜蘭高校ホスト部のが浮かぶのかしら…でも、やっぱ有閑倶楽部かぁーー！みろくとせいしろうとかとか。 (2017年9月22日 13時) (レス) id: 40e0ecae06 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - ありがとうございます( ´∀｀)まさにリクエストは有閑倶楽部風でした 笑 さすがヨウコさん！私そんなに詳しくはなくてちょっと不安だったんですがオッケ貰えて良かったです☆生徒会はやはり鉄板ですね。 (2017年9月15日 17時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴよ
| 作成日時：2016年11月30日 0時
