��.リョウスケの話 ページ41
初めて目にする兄弟たち。
母が違えば容貌も全く異なる。
それでも血だけで繋がった綺麗で憐れな
籠の鳥。
「涼介ってハジメテじゃないんだね。」
最初の夜の相手はだいちゃんだった。
勿論ハジメテじゃないし、何なら鳴くもの鳴
かせるのも抵抗無い。
「………ごめんね、」
何の謝罪か自分でもよく分からない。
「謝ることないだろ 」
円らな瞳を真正面から見つめ返す事くらい俺
には簡単な事なのに。
上手く出来たか分からない。
次の日は圭人。その次の日は慧。
決まりに従い兄弟達は全てを共有する。
それぞれがそれぞれの方法で快楽を追った。
新しいおもちゃみたいな扱いも心地好い。
“分かち合う”のは血だけじゃないんだと
信じてしまいそうになる。
最後は宏太の番だった。
光君が帰って来たからと先延ばしになった末、
ようやく訪れた夜の相手。
鋭い眼差しで見下ろされるとそれだけで身体
が震える様だった。
「どんなのが良い？ゆうとみたいにがむしゃ
らに愛されたい？
それとも慧みたいに甘ったるいのが好み？」
答えを待たず塞がれた唇は、横暴で貪欲で
でも優しくて甘い。
揺れる身体が、詰め込み過ぎた頭の中をひと
ときだけ空っぽにしてくれるみたいだった。
僅に飛ばした意識を手繰り寄せ重い瞼を開く
と宏太は真上からこちらを見下ろしていた。
「…なぁ、聞いてくれるかい？
長兄だ、跡継ぎだと言われ続けていつの間
にか俺が一番長いことこの籠の中で生きて
いる。
学ぶのも知るのもいずれこの国を治めるた
め、それがあいつらとの違いだと受け入れ
てるつもりだ。
“あなたは特別なの”ってのが母親の口癖
で、死ぬまで繰り返してたもんだ。」
穏やかに語る彼の指先がゆっくりと俺の首に
食い込んでいく。
「……涼介がいなくなれば、俺なんかでも
本当の後継者になれるのか、
精巧な偽物を造るには思い込ませておく
のが一番。そうだろ？」
ー知ってたんだね、全部。
この国の莫大な資源を狙う敵国は多い。
転覆を狙った王の暗殺と常に隣り合わせ。
だから、無事即位するその日までダミーが必
要だった。
俺が本当の後継者。
「……ふふ、なんてね。
知ってたさ、全部。最初から。」
目を細めて笑った宏太は指先からあつさり力
を抜いた。
「俺は生きるよ。生き抜くために学んでき
た。
そもそもこの国にこれっぽっちも興味が無
い。」
籠なんて初めから無かったのかもしれない。
ただ一緒に居たかった、それだけ。
＊next?＊
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ぴよ(プロフ) - ありがとうございます( ´∀｀)少しずつ書いたお話たちが一杯になりました！短いので設定もある程度自由に楽しく書いています。気になるお話があれば嬉しいなぁ思います♪私も読んで頂けて幸せです＊ (2017年10月15日 18時) (
レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーご - こんにちは、ぴよさん。今まで読みたい〜って思っていた場所のお話が読めて幸せです。公開ありがとうございます。 (2017年10月15日 16時) (レス) id: 291fc33caa (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - みるみるみるきーさん» グランマニエとか 笑 私たちにはやっぱり有閑倶楽部なのでしょうかね。学園ものは王道ですが間違いないわくわく感が味わえますね( ´∀｀)楽しい♪ (2017年9月22日 13時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - ナイスですな、有閑倶楽部風味♪私もわかりましてよ。まあ、今の子なら桜蘭高校ホスト部のが浮かぶのかしら…でも、やっぱ有閑倶楽部かぁーー！みろくとせいしろうとかとか。 (2017年9月22日 13時) (レス) id: 40e0ecae06 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - ありがとうございます( ´∀｀)まさにリクエストは有閑倶楽部風でした 笑 さすがヨウコさん！私そんなに詳しくはなくてちょっと不安だったんですがオッケ貰えて良かったです☆生徒会はやはり鉄板ですね。 (2017年9月15日 17時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴよ
| 作成日時：2016年11月30日 0時
