15.青色のピアノ�� (ymin) ページ31
今夜も地下に広がるステージに
ピアノの音が響く。
いつものカウンターに腰掛けて、控えめな
ライトに照らされたそのヒトを見つめる。
しなやかな指先、揺れる前髪、スーツの繍
が時折キラリと反射して彩を添える。
全てが綺麗で
目が離せなかった。
「………お待たせしました。」
演奏の合間を選んでカウンターから
グラスが届けられる。
今日のカクテルはピンク色、さくらんぼ
が浮かんでる。
「ゆうてぃ、ありがとう。」
背の高いバーテンダーは、端正な顔を少し
だけ歪めてため息をついた。
「……ねぇ、その呼び方止めてくれない？
調子が狂って仕方無いんだけど、」
「いいじゃん、もう顔馴染みでしょ。
仲良くしようよ。」
初めて先輩に連れてきてもらってから3ヶ月。
週に約2回のペースで訪れて、いい加減常連客
の勢いだ。
決まって同じカウンターに座り、向き合って
過ごしているのにゆうとという名のバーテン
ダーは相変わらずにつれない態度。
「俺は、仕事してるの。
遊びに来てる訳じゃない。」
それでもこうして軽口を交わせる迄には
仲良くなったんだと思う。思いたい。
「今日もいのちゃんは綺麗だな。」
俺の呟きにシェイカーを振る手が止まる。
再び始まった演奏に聞き入っているのは
俺だけじゃないのだ。
ゆうてぃの眼差しは真っ直ぐいのちゃんに注
がれている。
演奏が終わるといのちゃんは裏口へと姿を
消してしまうのだが、何回かに一度カウンタ
ーへと顔を見せに来てくれる。
「山田君、今晩は。
また来てくれたんだね。」
客と言葉を交わす事を禁じられていると
いういのちゃん。
グラスを交わし、間近で触れ合うその時間が
今夜も俺をまた少し欲張りにする。
「………いのちゃん、」
咎める様なゆうてぃの言葉は、もはや形式的
であまり意味を持たなくなっていた。
その証拠にグラスには既にカクテルが注がれ
ている。
“乾 杯”
「今日はオーナーさんいないの？」
いのちゃんがカウンターに来てくれる
のはオーナーさんが不在な時だけ。
ゆうてぃ曰く、いのちゃんはオーナーの
“特別”なのだ。
「うん、別なお店に行ってる。」
他にも手広く飲食店を経営するオーナーは、
若いながら随分とやり手らしい。
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ぴよ(プロフ) - ありがとうございます( ´∀｀)少しずつ書いたお話たちが一杯になりました！短いので設定もある程度自由に楽しく書いています。気になるお話があれば嬉しいなぁ思います♪私も読んで頂けて幸せです＊ (2017年10月15日 18時) (
レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーご - こんにちは、ぴよさん。今まで読みたい〜って思っていた場所のお話が読めて幸せです。公開ありがとうございます。 (2017年10月15日 16時) (レス) id: 291fc33caa (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - みるみるみるきーさん» グランマニエとか 笑 私たちにはやっぱり有閑倶楽部なのでしょうかね。学園ものは王道ですが間違いないわくわく感が味わえますね( ´∀｀)楽しい♪ (2017年9月22日 13時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - ナイスですな、有閑倶楽部風味♪私もわかりましてよ。まあ、今の子なら桜蘭高校ホスト部のが浮かぶのかしら…でも、やっぱ有閑倶楽部かぁーー！みろくとせいしろうとかとか。 (2017年9月22日 13時) (レス) id: 40e0ecae06 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - ありがとうございます( ´∀｀)まさにリクエストは有閑倶楽部風でした 笑 さすがヨウコさん！私そんなに詳しくはなくてちょっと不安だったんですがオッケ貰えて良かったです☆生徒会はやはり鉄板ですね。 (2017年9月15日 17時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴよ
| 作成日時：2016年11月30日 0時
