検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:37,950 hit

ページ22

土曜日、ちねんとの待ち合わせ場所に
急いでいた俺は人混みに見つけたその
姿に足を止めた。

「………いのちゃん?」


私服姿のいのちゃんは、相変わらずふらふら
と掴み所の無い背中を晒していた。

約束をすっぽかしたりしたらちねんに何て
言われるか分かったもんじゃない。
法外な請求が回ってくるかもしれないけど、

けど、


「いのちゃん〜!!」


俺はその背を追わずにはいられなかった。
だって大好きな人がそこにいるんだよ。


「ほぁ、山田?!何してんの?」


薄い肩を叩いて道の端に引き寄せると
いのちゃんはそう言って立ち止まった。


「……えっと、暇だからぶらぶらして
ただけ。

いのちゃんは?」


「俺はね、買い物して帰るとこ。
しかし、土曜は混むねぇ、

………疲れちゃったよ。」


一緒にお茶でも行けたらなと思ったけど
ダルそうに目を細めるいのちゃんの様子
に俺はすっかり挫けてしまった。


あんまり無理させちゃ悪いしな……


「山田、暇なら家に来る?

お茶くらい煎れてやるよ。」


いのちゃんは、何でも無い事みたいに
そう言って俺の袖を引いた。


「……………うん、じゃあ」


“行く”って言うよ。言わずにいれる?
だって俺、いのちゃんが好きなんだもの。

……

……

「お邪魔します、」


いのちゃんのマンションに足を踏み入れて
しまった俺は、おずおずと勧められるがま
まソファーに腰を下ろした。

間もなくしてお盆にコーヒーカップを乗せた
いのちゃんがやって来て、俺の隣にちょこん
と座った。

良い香りがする、肩と肩触れた所が熱く
なる、息遣いが聞こえる………どうしよう


どうしよう、
俺とんでもない所に来てしまった。


「ふふふっ山田、顔真っ赤だよ。」


それなのにいのちゃんは、
不意打ちみたいに俯いた俺を覗き込み
さらりと頬っぺたを一撫でしてくる。


駄目、駄目、そんな風に触らないで。
駄目、駄目、いのちゃんは俺の先生なの。


「………やまだぁ、我慢は良くないよ?」


ギュッと瞑った瞳を開けると至近距離に
いのちゃんの綺麗な顔。可愛い顔。


「俺は、山田とキスしたいなぁ、
山田の事大好きだもん。」


「………いのちゃんは、先生。
俺は、生徒だから、」


「………だから?」



あぁ、もう先生から誘惑してくるなんて
聞いたこと無い。



「先生、大好き。」


叶わぬ恋だなんて、誰が決めたの?

end

*ぴよ*→←11.先生に恋するという事(ymin)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (153 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
178人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぴよ(プロフ) - ありがとうございます( ´∀`)少しずつ書いたお話たちが一杯になりました!短いので設定もある程度自由に楽しく書いています。気になるお話があれば嬉しいなぁ思います♪私も読んで頂けて幸せです* (2017年10月15日 18時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーご - こんにちは、ぴよさん。今まで読みたい〜って思っていた場所のお話が読めて幸せです。公開ありがとうございます。 (2017年10月15日 16時) (レス) id: 291fc33caa (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - みるみるみるきーさん» グランマニエとか 笑 私たちにはやっぱり有閑倶楽部なのでしょうかね。学園ものは王道ですが間違いないわくわく感が味わえますね( ´∀`)楽しい♪ (2017年9月22日 13時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - ナイスですな、有閑倶楽部風味♪私もわかりましてよ。まあ、今の子なら桜蘭高校ホスト部のが浮かぶのかしら…でも、やっぱ有閑倶楽部かぁーー!みろくとせいしろうとかとか。 (2017年9月22日 13時) (レス) id: 40e0ecae06 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - ありがとうございます( ´∀`)まさにリクエストは有閑倶楽部風でした 笑 さすがヨウコさん!私そんなに詳しくはなくてちょっと不安だったんですがオッケ貰えて良かったです☆生徒会はやはり鉄板ですね。 (2017年9月15日 17時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぴよ | 作成日時:2016年11月30日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。