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9.独占欲とは (tkin) ページ17

「高木、久しぶり!」

にこにこと手を振って可愛らしい笑顔
で待ち合わせ場所に現れたいのお君。

ともう一人。


「………ん?」


俺は予想外の状況に思わず首を捻った。
だって、そこに居たのは忘れもしない仔犬の
様な人懐こさを持った男の子。
クリスマスの夜、人混みに紛れいのお君の手
を引いていたあの子。


「………ごめん高木、だいちゃん
付いてきちゃった。」


「だって及第点とったらご褒美くれる
って約束だもん。」


苦笑いを浮かべるいのお君としたり顔のあり
おか君。
隣り合った二人を交互に眺めながら俺は大
きな大きなため息をついた。

年明け後も続いたプロジェクトが無事成功
して一段落ついたのは3月も半ばを過ぎて。
後は給料への跳ね返りを待つばかり。
ようやく出来たいのお君との時間、幸いにも
俺の誕生日まで一週間程という絶妙のタイミングだった。


“ いのお君、次の休みに会える? “


“ 俺、良い子で待ってたんだから、
高木にいっぱいシて欲しい ”


良い子で待っていたといういのお君からの
返信を受け取った俺は、ありったけの夜を
過ごそうと待ち合わせ場所に急いだ。


「………えっと、どういう事?」


ありおか君は、いのおくんの教え子であり
若干の問題児だった。
勉強があまり得意で無い彼は、テストの度に
追試に引っ掛かりいのお君に言わせれば、
“俺の自由時間を台無しにする”


嫌気が差したいのお君は、三学期末のテスト
をクリアすれば何かご褒美をあげると持ちか
けたらしい。


………でも、そもそもありおか君はいのお君が
好きだと公言しているのだからこれは如何な
ものかと思う。
危なっかさは昔も今も相変わらずだ。



「そういう訳だから今日は、高木といのち
ゃんのデートにお邪魔させてもらうね!」



ありおか君は、いのお君の右側に小さな身体
を寄せて腕を絡めながら宣戦布告さながらそ
う言い放った。


ため息が止まらない。
いのお君を抱き締めようと伸ばしかけた
両の手が手持ち無沙汰に空を切る。
柔らかい髪も甘い香りも全部お預け。

お預けには慣れていた筈だけど、手に入れた
と自負する今になってはモヤモヤが収まらず
どうにもやりきれない思いが込み上げてくる。


俺のいのお君なんだよ、、


こんな子供みたいな独占欲を持つなんて
昔では考えられなかった事だ。

*→←*



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ぴよ(プロフ) - ありがとうございます( ´∀`)少しずつ書いたお話たちが一杯になりました!短いので設定もある程度自由に楽しく書いています。気になるお話があれば嬉しいなぁ思います♪私も読んで頂けて幸せです* (2017年10月15日 18時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーご - こんにちは、ぴよさん。今まで読みたい〜って思っていた場所のお話が読めて幸せです。公開ありがとうございます。 (2017年10月15日 16時) (レス) id: 291fc33caa (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - みるみるみるきーさん» グランマニエとか 笑 私たちにはやっぱり有閑倶楽部なのでしょうかね。学園ものは王道ですが間違いないわくわく感が味わえますね( ´∀`)楽しい♪ (2017年9月22日 13時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - ナイスですな、有閑倶楽部風味♪私もわかりましてよ。まあ、今の子なら桜蘭高校ホスト部のが浮かぶのかしら…でも、やっぱ有閑倶楽部かぁーー!みろくとせいしろうとかとか。 (2017年9月22日 13時) (レス) id: 40e0ecae06 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - ありがとうございます( ´∀`)まさにリクエストは有閑倶楽部風でした 笑 さすがヨウコさん!私そんなに詳しくはなくてちょっと不安だったんですがオッケ貰えて良かったです☆生徒会はやはり鉄板ですね。 (2017年9月15日 17時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴよ | 作成日時:2016年11月30日 0時

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