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*42* ページ42

切なげに目を細めるいのちゃんへ
言葉に出来ない想いの代わりになればと、
必死でこくこく頷いた。


「4年前のあの夜は、日曜日で本来仕事
はお休みの筈だったのに、

日を跨ぐ寸前に薮から突然連絡があって、
どうしても受けて欲しい仕事が入ったか
らって言われた。

名前を聞いて納得したけど、まさか子供
を連れてくるとは思わなかったから、破
格の料金も休日対応のせいなのかなって。」


上乗せした料金は、俺を押し付けた事への少
しばかりの手間賃だったのかもしれない。


「すっかり準備整えて待ってたのに、
来て早々に“しばらく息子預かってくれ”
って頼まれるし。

連れてきた息子は、あの人にそっくりな
顔してるし、正直どこまでも悪趣味な人
だなって思ったよ。



……俺を解放する気無いんだなって。」



あの夜のいのちゃんを思い出す。
仕事を決め込んだ彼は、確かに妖しく艶かし
く二階に広がる闇の世界に溶け込んでいた。



「でもね、ぽつんと残されたその子の綺麗
な顔を見ていたら…、

どうしても自分と重なってしまって。

“同じ血が流れてる”って絶望しながらも、
受け入れて生きるしかない虚しさや強が
りは俺も知っているものだったから。」



そうだ、俺は知っていた。

知っていたけど、置いていかれるのは

やっぱり寂しかった。



「だから、可哀想になっちゃって、慰めの
意味も込めて一緒に寝ようと思った。

ここは、広すぎるから身体を寄せ合って、
なるべく近くで眠ってあげたいなって。

そんな偉そうなこと思ってたのに、

……俺の方が泣けてきちゃって。


身体を重ねる事なく軋まないベッドで
ただ朝まで二人で眠る。


それだけで、俺にとっては忘れられない夜
になった… 」


「……お、っ俺だって忘れたことないよ!

二人で眠る安らぎも、一緒にご飯を食べる
幸せな気持ちも、いつでも待っててくれる
安心感も……全部、全部いのちゃんに貰っ
たんだから!!

謝らないでよぉ……っ」


一方向に紡がれる言葉に堪えきれず
顔を上げたその時、








重ねられたのは、想像したよりずっとずっと
柔らかな唇。
触れるだけに留めるのがもったいない程に
甘ったるい後味。

いのちゃんは、ギュッと俺の背に腕を回し
右耳の側に顔を埋めた。



「………ねぇ、

俺もずっと一緒にいたいよ



“ りょうすけ“ じゃなきゃ駄目なの 」

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設定タグ:Hey!Say!JUMP , BL   
作品ジャンル:恋愛
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ぴよ(プロフ) - あいとさん» あいとさん、ありがとうございます( ´∀`)凄く久しぶりに二人に想いを馳せてみました。私もここ迄辿り着く過程を思うと万感の思いです。幸せに過ごしてほしいなぁ♪ (2018年6月25日 12時) (レス) id: 20d979f9fd (このIDを非表示/違反報告)
あいと(プロフ) - ぴよさん!ろくでもない夜にファンの私にはとても嬉しいお話でした!この日までよく頑張ったね二人…、いのちゃんこれからは大好きな人にだけ甘やかしてもらうんだよ…となぜか親心…(笑)素敵なお話ありがとうございました! (2018年6月24日 7時) (レス) id: 6689a85a28 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - にゃーごさん» にゃーごさんこちらにもありがとうごさいます。このお話は当然完璧なフィクションなのですが、その中でも心の動きがなるべく自然に繋がる様にそれぞれの気持ちを想像して書きました。同じ様に感じて貰えて嬉しいです( ´∀`)妄想は最高ですね 笑 (2017年4月28日 22時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーご - ぴよさん こんにちは。私がぴよさんに夢中になった作品は実はこの作品でした。あの子は実はこんな気持ちじゃないかな?なんて妄想が広がった時に胸にトンと降りてきてもう、ぴよさんワースドから抜け出せません。 (2017年4月28日 9時) (レス) id: a963f855a1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 綺更さん» コメありがとうごさいます。最後まで読んで下さってとても嬉しいです。私も書きながらもどかしく、皆を幸せにしてあげれるのか不安になったりもしたのですが、無事完結出来てホッとしています。涙ぐんで頂けたの事で感激です!また面白いお話をお届け出来る様頑張ります (2017年1月14日 3時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴよ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年8月30日 20時

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