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秋の夜長、
今日は満月なのかもしれない。
月の光は、間接照明より明るく室内を照らす。
「…今でこそ、こんな夜を重ねてるけど
初めて仕事として“お客さま”に抱かれた
時は、震えが止まらなかった。
都合が良いとか、そんな甘いものじゃな
いって身をもって思い知らされたよ。
それまでも母親の相手に誘われたり、小
遣い稼ぎにホテルで待ち合わせしたり…
経験は豊富なつもりでいたけど、
高値が付けられ、その等価で身体を差し
出すのは、相手の望むままに抱かれるの
は、自分の知らない快感に向き合うのは、
とても怖いことだった。」
“身なりが紳士なお客さま程、夜は深く長く
なるものなんだよ”
経験に裏打ちされた格言は、俺が天井の音に
耳を済ませて得た確信と一致する。
上客ほどに質が悪くて、どこまでも貪欲だ。
「この場所もお客さまも薮に紹介して貰っ
たから、初めての仕事の後にちゃんと
全部話したんだよ。
俺がどんな夜を過ごして、どんな風に変
えられたのかを。
勿論辞める気は無かったけど、ありのま
まを伝えるのが責務だと思ったから。」
いのちゃんはもう完全に反対側を向いてしま
って、紡ぐ声色でしか表情を推し量る事が出
来ない。
そして、それすら淀み無く頭上を流れる様だ
った。
「薮は、黙って俺の話を聞いた後に、
“契約しようか”と持ち掛けて来た。
“仕事が無い日、俺のものになれ”って。
薮とは、親友だったんだ。
だからもちろんそれまでは、身体の関係
何て無かったし、薮はいつだって俺の家
庭環境まで心配してくれてた。」
声色では、一向に分別がつかないからと
俺は、いのちゃんの背中に触れてみた。
しっとり吸い付く細やかな肌は、さっきより
随分と冷えてしまった。
「………薮は、優しかったよ。
初めてから今までずっと。
ひたすら甘やかすみたいに抱いてくれた。
自惚れでないとしたら、その行為は
俺を慰めるための時間だった。
薮は、そういう奴なの。
だから、 」
いのちゃんは手首を伸ばし、真新しい傷口へ
自ら爪を立てた。
抉れたそこからじんわりと血が滲むのが分か
る。
「……だから、薮にこんなことさせたの
は、全部俺のせいなんだよ。
薮は、ちっとも悪くないの。
欲張りな俺が薮を壊しちゃったの。」
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ぴよ(プロフ) - あいとさん» あいとさん、ありがとうございます( ´∀｀)凄く久しぶりに二人に想いを馳せてみました。私もここ迄辿り着く過程を思うと万感の思いです。幸せに過ごしてほしいなぁ♪ (2018年6月25日 12時) (
レス) id: 20d979f9fd (このIDを非表示/違反報告)
あいと(プロフ) - ぴよさん！ろくでもない夜にファンの私にはとても嬉しいお話でした！この日までよく頑張ったね二人…、いのちゃんこれからは大好きな人にだけ甘やかしてもらうんだよ…となぜか親心…（笑）素敵なお話ありがとうございました！ (2018年6月24日 7時) (レス) id: 6689a85a28 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - にゃーごさん» にゃーごさんこちらにもありがとうごさいます。このお話は当然完璧なフィクションなのですが、その中でも心の動きがなるべく自然に繋がる様にそれぞれの気持ちを想像して書きました。同じ様に感じて貰えて嬉しいです( ´∀｀)妄想は最高ですね 笑 (2017年4月28日 22時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーご - ぴよさん こんにちは。私がぴよさんに夢中になった作品は実はこの作品でした。あの子は実はこんな気持ちじゃないかな？なんて妄想が広がった時に胸にトンと降りてきてもう、ぴよさんワースドから抜け出せません。 (2017年4月28日 9時) (レス) id: a963f855a1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 綺更さん» コメありがとうごさいます。最後まで読んで下さってとても嬉しいです。私も書きながらもどかしく、皆を幸せにしてあげれるのか不安になったりもしたのですが、無事完結出来てホッとしています。涙ぐんで頂けたの事で感激です！また面白いお話をお届け出来る様頑張ります (2017年1月14日 3時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
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