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上り始めた朝陽は、夜を惜しんで蹲る
色の街をすっかり明るく照らしてしまう。
カーテンをゆっくりと開き、隙間から差す健
全で眩しい全うな光りに目を細めた。
…
…
俺たちにだってちゃんと
朝はやって来る。
「 学校行ってくるね。」
これでもかと酷使した筈の身体は、何故かと
ても軽くて、詰め込みすぎた色んなものが全
て浄化された後の清らかさに満ちていた。
「 いってらっしゃい、りょうすけ 」
俺の大切な人は、そう言って
にっこり微笑み手を振った。
次の夜まで姿を消した廃墟みたいな店先
で、ごみ箱に群がるカラスたち。
するりと真横を通り抜ければ、つまらなそう
“カァ”と鳴く。
何とでも鳴けばいいさ。
いつもの駅、いつもの時間
いつものホーム、いつもの白線で待つ。
「 おはよう、涼介。」
小さな彼は、当たり前の様に俺の右側に立ち
今日も完璧な割り込みを見せてくれた。
「おはよう、知念。」
流れるアナウンスと共に入線する車両。
ただ今日は、並んだまま乗り込んで少し無理
して手摺を握った彼。
「すっかりきれいに戻ったね。」
泣きはらし重く腫れた瞼を思い返す。
何事も無かったかの様に元通りになった端正
な顔を覗き込んだ。
「…当たり前でしょ、誰だと思ってんの。
涼介こそ、何だかツヤツヤしてるけど、
帰る場所ちゃんと見つかった……?」
知念は、茶化すみたいな口調で問いかけ、
目まぐるしく移り変わる車窓を見つめていた。
「……うん、見つかった。もう大丈夫。
ありがとね、知念。」
「……そりゃ、良かった。
僕やっぱり涼介と二人暮らしとか無理そう
だから、このまんまで良いよ。 」
“ このまんま ”
俺と知念は変わらない。
ガタガタと揺れる車両が連れてくる
当たり前の日常に、今更眠気が強くなり
その日俺は、
朝から机に突っ伏し続けた。
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ぴよ(プロフ) - あいとさん» あいとさん、ありがとうございます( ´∀`)凄く久しぶりに二人に想いを馳せてみました。私もここ迄辿り着く過程を思うと万感の思いです。幸せに過ごしてほしいなぁ♪ (2018年6月25日 12時) (レス) id: 20d979f9fd (このIDを非表示/違反報告)
あいと(プロフ) - ぴよさん!ろくでもない夜にファンの私にはとても嬉しいお話でした!この日までよく頑張ったね二人…、いのちゃんこれからは大好きな人にだけ甘やかしてもらうんだよ…となぜか親心…(笑)素敵なお話ありがとうございました! (2018年6月24日 7時) (レス) id: 6689a85a28 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - にゃーごさん» にゃーごさんこちらにもありがとうごさいます。このお話は当然完璧なフィクションなのですが、その中でも心の動きがなるべく自然に繋がる様にそれぞれの気持ちを想像して書きました。同じ様に感じて貰えて嬉しいです( ´∀`)妄想は最高ですね 笑 (2017年4月28日 22時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーご - ぴよさん こんにちは。私がぴよさんに夢中になった作品は実はこの作品でした。あの子は実はこんな気持ちじゃないかな?なんて妄想が広がった時に胸にトンと降りてきてもう、ぴよさんワースドから抜け出せません。 (2017年4月28日 9時) (レス) id: a963f855a1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 綺更さん» コメありがとうごさいます。最後まで読んで下さってとても嬉しいです。私も書きながらもどかしく、皆を幸せにしてあげれるのか不安になったりもしたのですが、無事完結出来てホッとしています。涙ぐんで頂けたの事で感激です!また面白いお話をお届け出来る様頑張ります (2017年1月14日 3時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
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