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薮君は、超が付く難関大学への合格を期待さ
れており随分前から大手予備校に通っていた。
授業数も多く、拘束時間も長い。
俺が通うのは、それより下のランク。
あくまで地元レベルの予備校だし。
俺がそう告げると、薮君が思い出した様にひ
とつ手を叩いた。
「あっ！そう言えば、伊野尾も夏の間だけ
そこに通うって話してたな。」
……伊野尾君。
薮君の隣、少し距離をとって控えめに立つ姿。
女の子達に呼び止められた薮君を切ない表情
で見つめていた。
一見地味で目立たない、でも綺麗な顔をした
“薮君の恋人”
薮君は、かなりモテるのに彼女を作らない。
山程の告白を丁寧にお断りしてきた。
勉強が忙しいからだと皆うわさしていたが、
真実は別にある。
薮君には、入学当時からの恋人いたのだ。
高校2年の文化祭終わり、打ち上げを抜け出し
て上がった屋上で、薮君は俺にその人を紹介
してくれた。
「高木は、信頼出来る奴だから…」
薮君は、そう前置きしてから不安気に俺を
見上げる同じ制服姿の“男”の手をひいた。
「隣のクラスの伊野尾 慧。
俺達、真剣に付き合ってる。」
薮君が真面目な顔で言った。
俺は、別に驚かなかった。
今まで珍しい名前だなくらいにしか思ってこ
なかった相手。
良いも悪いもたいした印象が無い。
でも、初めて正面から見た伊野尾君は、整っ
た顔立ちをした間違いなく美人だった。
薮君と並ぶ姿が絵になるくらいに綺麗。
誰も気付いてないんだろうけど。
「…すごくお似合いだね。」
思った事をそのまま口にした。
「……、高木って変な奴だね。」
さっきまで固まっていた伊野尾君がぼそりと
そう呟いて、にっこり笑った。
一瞬、胸を鷲掴みにされた様な衝撃が走る。
“笑った伊野尾君が、天使に見えた“なんて
言える筈もないけれど、ともかく俺はただ一
人秘密を共有することを許された。
「伊野尾君が？何でまた。」
伊野尾君は、頭が良い。
希望する大学へ合格する力は充分にあった
筈だけど。
「伊野尾ならもっと上の大学だって狙え
るんだ。
やっと本気になったんじゃないの？」
薮君は、嬉しそうに見えた。
本当は、伊野尾君と同じ大学に行きたいん
だ。
伊野尾君は今まで、頑なに志望校を変えなか
ったけど、気が変わったのかもしれない。
一番窓側の俺の席。
伏せたまま窓の外に目をやると、どこまで
も青い夏空と入道雲。
そこには、高校最後の夏が広がっていた。
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ぴよ(プロフ) - けいままさん» たくさんのコメントをありがとうございました！！ゆうと君を登場させる時は漏れなくけいままさんをおもっていました 笑 妄想ではありますがなるべくその世界に浸れるような描写を心掛けていたので、そう言って頂けてとても嬉しかったです☆ (2016年8月31日 20時) (
レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - ゆややさん» たくさんのコメントありがとうございま した！！無自覚シリーズは私も大好きで、自由奔放ないのちゃんを書くのはとても楽しかったです♪また続きをお届けしたいなと思ってます。次のお話も宜しければお付き合い下さい( ´∀｀) (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 夏夢さん» たくさんの楽しいコメントをありがとうございました！！お陰様で30話書ききることが出来ました。私もアナログ人間なので捲って楽しむ本が大好きです。たまに読み返して頂けたら嬉しいです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - えりささん» ありがとうございました！えりささんのコメで思い立ったたかいのは、今や大好きなcpです☆えりささんの作品も楽しみにしています。 (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
けいまま(プロフ) - 完結。素敵なお話達ありがとうございました。美しいJUMP君たちが繰り広げる美しい文章の妄想世界。ページを辿るとその世界の空気に触れられるようで、とても楽しませていただきました。最期に長身イケメンのお花屋さんありがとうございます。 (2016年8月30日 22時) (レス) id: d225e5d52f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴよ
| 作成日時：2016年7月25日 19時
