24 夏色ソーダ(tkin) ページ8
tk
……暑い。
ビルの隙間から青い空が広がる真夏の午後。
焼け付く様な日差しが燦々と降り注ぐ。
アスファルトに覆われたオフィス街は、籠っ
た熱を蓄えて揺らいで見えた。
上からも下からも責め立てられて、もうお手
上げだ。
得意先訪問は、若手の仕事。
朝から晩までオフィス街をぐるぐる回る。
汗が滲んで、肌にペッタリと貼りついたワ
イシャツが煩わしかった。
ハンカチで顔を拭いながら、これは本格的に
休憩が必要だと足を止める。
見渡せば有名なコーヒーショップ。
夏限定のフラペチーノが売り出されている。
炎天下のなか、列をなす女の子達。
その向いには、洒落たカフェ。
夏場の人気メニューは、フルーツがたっぷ
りのかき氷。
950円と掲げられたメニュー表に溜息が漏れ
る。
俺は、自販機で買ったアイスコーヒーを手に
ベンチに腰掛けた。
小さな公園でも、都会のオアシス。
噴水からの水しぶきと僅かな木陰に、ひと
息ついた。
どんなにお洒落で美味しくても、かき氷に
そこまで払おうとは思えないや。
並んでまで、フラペチーノを飲みたいとも
思わないし。
こんな暑い日食べたくなるのは…、
そうだ、この青空みたいに綺麗な色で
がりがり冷たいソーダ味のアイスバー。
ポタポタ落ちる水色の雫、ベタつく指先、
人工的な甘ったるさ、受験生の夏飽きる程
食べたあの味。
忘れられない彼との思い出。
……………
6年前、高校3年生の夏は酷く暑かった。
受験生の俺達に、実質夏休みはなく終業式
もたいした意味を持たない。
式を終え、机に突っ伏した俺の上から伸びや
かな声がした。
「高木、何のびてんの？」
顔を上げると、いたずらっぽく笑った薮君が
俺を見下ろしていた。
薮君とは2年生で同じクラスになってから仲良
くなった。
勉強もスポーツも得意、加えて高身長でスタ
イルも抜群の薮君はちょっとした有名人だった。
話してみると、気さくで性格も良く、地元が
近いこともあり、いつの間にか気の置ける友
人のひとりになっていた。
「あぁ、明日から予備校行くんだわ俺。
面倒くさい……。」
進学を希望してはいたものの、今の成績で入
れる私立でいいやと予備校には通っこなかっ
たのだが、夏期講習くらい受けてこいと親に
申し込まれてしまったのだ。
「ははっ、少しは受験生しろって事だろ。」
薮君が励ますみたいにポンッと背中を叩く。
確かに薮君と比べたら俺は、随分楽をして
いる。
「薮君は、当然忙しいんでしょ？
あそこは授業数多いもんね。」
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ぴよ(プロフ) - けいままさん» たくさんのコメントをありがとうございました！！ゆうと君を登場させる時は漏れなくけいままさんをおもっていました 笑 妄想ではありますがなるべくその世界に浸れるような描写を心掛けていたので、そう言って頂けてとても嬉しかったです☆ (2016年8月31日 20時) (
レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - ゆややさん» たくさんのコメントありがとうございま した！！無自覚シリーズは私も大好きで、自由奔放ないのちゃんを書くのはとても楽しかったです♪また続きをお届けしたいなと思ってます。次のお話も宜しければお付き合い下さい( ´∀｀) (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 夏夢さん» たくさんの楽しいコメントをありがとうございました！！お陰様で30話書ききることが出来ました。私もアナログ人間なので捲って楽しむ本が大好きです。たまに読み返して頂けたら嬉しいです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - えりささん» ありがとうございました！えりささんのコメで思い立ったたかいのは、今や大好きなcpです☆えりささんの作品も楽しみにしています。 (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
けいまま(プロフ) - 完結。素敵なお話達ありがとうございました。美しいJUMP君たちが繰り広げる美しい文章の妄想世界。ページを辿るとその世界の空気に触れられるようで、とても楽しませていただきました。最期に長身イケメンのお花屋さんありがとうございます。 (2016年8月30日 22時) (レス) id: d225e5d52f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴよ
| 作成日時：2016年7月25日 19時
