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ym

「やまだぁ……どうしよう。」

いのおちゃんはそう言ってグビッと一口
ワインを煽った。
引っ越し祝いに貰ってから光君とハマった赤
ワインは、飲みやすい甘口だ。

金曜日の仕事終わり、いのおちゃんからのメ
ールは、“今日、泊まりに行っても良い?”
たまたま光君は、早めの忘年会でいないし、
美味しいワインが届いたこともあり、俺は
快くいのおちゃんを招き入れた。

「お邪魔しまぁす!

彼氏がいない間に男を家に上げるなんて
山田もなかなかやるね。」

いのおちゃんは、いつものごとく軽口を叩き
ながらへらへら笑ってソファーに座った。
ちなみに、泊まりに来る事はちゃんと光君に
連絡済み。
手作りの夕飯を並べると、目を輝かせて喜ん
で口いっぱいにご飯を頬張る姿はいつもいの
おちゃんだったんだけど……

食後に改めてワインで乾杯してから、どうに
も雲行きが怪しくなってきて。
いのおちゃんの口から語られた近況は、言葉
を失うに十分な威力を持っていた。

「……どうしようって、いのおちゃん
まさか、その……してはいないよね?」

「う〜ん……“まだ”してないけど。」

“まだ”…、その言葉に胸を撫で下ろす自分が
悲しい。

いのおちゃんは、転勤先の男子校で“だい
ちゃん”という可愛い男の子に想いを告げら
れて、何とキスを交わしてきたというのだ。
しかも、それ以上を求めてしまいそうでどう
しよう……というのだから怖い。
いのおちゃんの過去を知る俺は、ブルブル震
える思いだった。

あれだけ長い時間をかけてやっと思いが通じ
合ったのに。

「……ねぇ、いのおちゃん、そんなに寂し
いなら高木先輩に会いたいって言えば良い
のに。」

今まで散々気まぐれに呼び出してきたんだから。
いのおちゃんからの誘いを高木先輩が断る
訳が無いし。
しかし、俺の提言にいのおちゃんは力無く首
を振った。

「…………やだ。高木の邪魔したくない。

仕事で忙しいのに、我が儘は駄目だよ。」

ボソッと溢した言葉に俺は胸がきゅっと痛く
なった。
確かに何を今更と言えばそれまでなのだが、
いのおちゃんはいのおちゃんなりに高木先輩
を大切に思っているのだ。
ただ、その方法が分からないだけ。

これまでいのおちゃんは、たくさんの男と関
係を持ってきた。
何度も身体を重ねる事で、年上から教え込ま
れた快感は簡単に消えるものではない。
いのおちゃんの身体は、もはや抱いてもらう
事でしかコントロール出来ないのだ。

その相手は、高木先輩であるべきなのに。

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設定タグ:Hey!Say!JUMP , BL   
作品ジャンル:恋愛
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ぴよ(プロフ) - けいままさん» たくさんのコメントをありがとうございました!!ゆうと君を登場させる時は漏れなくけいままさんをおもっていました 笑 妄想ではありますがなるべくその世界に浸れるような描写を心掛けていたので、そう言って頂けてとても嬉しかったです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - ゆややさん» たくさんのコメントありがとうございま した!!無自覚シリーズは私も大好きで、自由奔放ないのちゃんを書くのはとても楽しかったです♪また続きをお届けしたいなと思ってます。次のお話も宜しければお付き合い下さい( ´∀`) (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 夏夢さん» たくさんの楽しいコメントをありがとうございました!!お陰様で30話書ききることが出来ました。私もアナログ人間なので捲って楽しむ本が大好きです。たまに読み返して頂けたら嬉しいです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - えりささん» ありがとうございました!えりささんのコメで思い立ったたかいのは、今や大好きなcpです☆えりささんの作品も楽しみにしています。 (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
けいまま(プロフ) - 完結。素敵なお話達ありがとうございました。美しいJUMP君たちが繰り広げる美しい文章の妄想世界。ページを辿るとその世界の空気に触れられるようで、とても楽しませていただきました。最期に長身イケメンのお花屋さんありがとうございます。 (2016年8月30日 22時) (レス) id: d225e5d52f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴよ | 作成日時:2016年7月25日 19時

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