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北風がピューピュー吹いて、落ち葉が
くるくると地面を舞った。
陽が傾いた街は、冷たく乾燥した空気で
満ちており、かじかんだ指先がピリピリ痛む。
晩秋の先、年の終わりも見えてくるこの時期
季節はすっかり冬に変わっていた。
しかし、僕の足取りは軽い。

今日、11月30日。僕は遂に18歳になる。
選挙権が付与されて、結婚が認められる年齢。
つまりは、一部大人の仲間入りが許されると
いうこと。
この日を今か今かと待っていた。

程なくして自宅に到着した僕は、荷物だけを
置いて、すぐさま向かいの玄関を潜った。
幼馴染の特権は、お互いの部屋に出入りが自
由なこと。
わざわざ聞かなくてもおばさんが“もうすぐ帰
ってくるよ”と教えてくれる。

昔からあまり変わらないその部屋は、ベッド
と机と本棚が主なシンプルな内装。
飾りっけの無い、それでいて精練されたいの
ちゃんそのものを表しているみたい。
僕は、綺麗に整えられたベッドに寝転んで、
ころころと左右に揺れながらいのちゃんの香
りを胸一杯に吸い込んだ。
はぁ……大好きな甘い香りがする。


「ただいま〜知念!」

暫く顔を埋めていると、頭上からふわふわし
た声が降ってきた。
僕がいのちゃんのベッドに潜り込んでいるの
はいつものことだから、いのちゃんもまた
当たり前の様に傍らに腰掛ける。

「お帰りなさい、寒かったでしょ?」

ギュッと重ねた手は、冷えきっていて真っ白
だった。

「ああ、知念の手あったかい。」

いのちゃんは、両手で僕の手を包み込みうっ
とりした様子で頬を寄せた。
僕は、体温が高いから寒がりのいのちゃんを
ちゃんと温めてあげられる。
ほら、相性だってばっちりでしょ。


「いのちゃん、僕、18歳になったよ。」


「…んっ、あっ、今日誕生日か!」

いのちゃんは、いつも眠たげな瞳をクイッと
見開いて僕を真っ直ぐに見つめた。
お互い誕生日を祝い合うとか不粋な事はして
こなかったから覚えてなくても平気。
でも、今年は特別だから。

「ねぇ、いのちゃん、覚えてる?

僕と“けっこん”するって約束したの。」


僕やっと18歳になったんだから。
もちろんすぐにどうこう出来ないって現実は
百も承知だよ。
僕は、馬鹿じゃないから。
でも、今日から大人の仲間入りするんだから
ここら辺でしっかり確認しとかなくちゃ。

「いのちゃんは、僕の“こんやくしゃ”なの。」

○→←29 Can you marry me? (cnin)



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設定タグ:Hey!Say!JUMP , BL   
作品ジャンル:恋愛
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ぴよ(プロフ) - けいままさん» たくさんのコメントをありがとうございました!!ゆうと君を登場させる時は漏れなくけいままさんをおもっていました 笑 妄想ではありますがなるべくその世界に浸れるような描写を心掛けていたので、そう言って頂けてとても嬉しかったです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - ゆややさん» たくさんのコメントありがとうございま した!!無自覚シリーズは私も大好きで、自由奔放ないのちゃんを書くのはとても楽しかったです♪また続きをお届けしたいなと思ってます。次のお話も宜しければお付き合い下さい( ´∀`) (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 夏夢さん» たくさんの楽しいコメントをありがとうございました!!お陰様で30話書ききることが出来ました。私もアナログ人間なので捲って楽しむ本が大好きです。たまに読み返して頂けたら嬉しいです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - えりささん» ありがとうございました!えりささんのコメで思い立ったたかいのは、今や大好きなcpです☆えりささんの作品も楽しみにしています。 (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
けいまま(プロフ) - 完結。素敵なお話達ありがとうございました。美しいJUMP君たちが繰り広げる美しい文章の妄想世界。ページを辿るとその世界の空気に触れられるようで、とても楽しませていただきました。最期に長身イケメンのお花屋さんありがとうございます。 (2016年8月30日 22時) (レス) id: d225e5d52f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴよ | 作成日時:2016年7月25日 19時

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