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大学2年の夏。
照り付けるアスファルトの上を俺達は、のろ
のろと歩いていた。
相変わらず伊野尾は、やや斜め後を歩く。
“普通の友達”だと言い訳が出来る距離。

大学生になって自由になったかと問われれば、、、
変わらないというのが答え。

次から次へと向けられる“期待”は、
終わりを知らない。



「あっ!!薮君だぁ!」

突如掛けられた黄色い声。
向かいから歩いてくるのは、多分高校の同
級生。
大学生らしくノースリーブに短いスカート
を合わせた女の子達。
思わず後を振り返れば、伊野尾はいつもの
様にすっと身体を離した。

“……向こうで待ってるから。”

目線だけでそう合図して、伊野尾は控えめに
笑った。
今日は、“友達”にすらなる気が無いらしい。
高校の同級生は、伊野尾が一番苦手とする
ところだった。

「…おぅ、久しぶりだね。」

にこやかに応じると、女の子達は嬉しそうに
俺を取り囲んだ。
何だかんだと話を聞かされ、極めつけに今人
気のコーヒーショップがあると引っ張り込ま
れた。
夏限定のフラペチーノを奨められ、何とか持
ち帰りに成功した俺は、足早にその場を逃れた。
名残惜しそうな声が投げ掛けられる。

俺は、走って走って小さな公園に向かった。
真夏の日差しが肌に突き刺さる。
伊野尾は、一人木陰のベンチに座っていた。
足をぶらぶらさせて、空を見ている。

「……伊野尾、ごめん。遅くなった。」

俺は、お詫びのしるしに冷たいフラペチー
ノを差し出した。
伊野尾は、一口だけ啜って、“苦いね”と
突き返し、

「じゃあ、コンビニでアイス買って。
ソーダ味のがりがりしたやつ。」

代わりに安いアイスをねだる。
嘘っぽい甘さと夏空を思わせる水色が
好きなのだという。

高校3年の夏、伊野尾は、いつの間にかこの
アイスにハマり、予備校には通ったけれど、
志望校を変えることはしなかった。


「よし、じゃあアイス買って、家に帰ろう。」

伊野尾は、嬉しそうに笑った。
水色のアイスを食べた後、伊野尾は毎回キ
スをせがむ。
ベタベタした唇は、なんだか妙に色っぽかった。


伊野尾と付き合ってから4年が経とうとし
ていた。

○fin→←○



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設定タグ:Hey!Say!JUMP , BL   
作品ジャンル:恋愛
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ぴよ(プロフ) - けいままさん» たくさんのコメントをありがとうございました!!ゆうと君を登場させる時は漏れなくけいままさんをおもっていました 笑 妄想ではありますがなるべくその世界に浸れるような描写を心掛けていたので、そう言って頂けてとても嬉しかったです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - ゆややさん» たくさんのコメントありがとうございま した!!無自覚シリーズは私も大好きで、自由奔放ないのちゃんを書くのはとても楽しかったです♪また続きをお届けしたいなと思ってます。次のお話も宜しければお付き合い下さい( ´∀`) (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 夏夢さん» たくさんの楽しいコメントをありがとうございました!!お陰様で30話書ききることが出来ました。私もアナログ人間なので捲って楽しむ本が大好きです。たまに読み返して頂けたら嬉しいです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - えりささん» ありがとうございました!えりささんのコメで思い立ったたかいのは、今や大好きなcpです☆えりささんの作品も楽しみにしています。 (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
けいまま(プロフ) - 完結。素敵なお話達ありがとうございました。美しいJUMP君たちが繰り広げる美しい文章の妄想世界。ページを辿るとその世界の空気に触れられるようで、とても楽しませていただきました。最期に長身イケメンのお花屋さんありがとうございます。 (2016年8月30日 22時) (レス) id: d225e5d52f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴよ | 作成日時:2016年7月25日 19時

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