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2年生になってクラスが離れた。
俺は、文系。伊野尾は、理系。
こればかりは、仕方がない。

「……はぁ。」

思わず漏れたため息に、後ろから声が掛かる。

「……薮君でもため息つくことあるんだ?」

高木は、机に伏せたまま顔だけを上げて、楽
しそうに言った。
長めの前髪から覗くのは、切れ長の瞳。
垂れた目の伊野尾と真逆だなぁと思う。

「……あるよ。ある。ある。」

「恋煩い?一途に思う人がいるんでしょ 笑」

例の噂を引き合いに高木が悪戯っぽく笑う。
2年生になってからクラスメートになった高
木は、大人っぽい雰囲気でまわりと一線を画
す少し不思議な奴だった。
誰に対してもフラットで、話してみれば意外
と子供っぽい無邪気さもある。
俺は、高木が気に入っていた。

「…おう、いるよ。健気でいじらしくて
とびっきり可愛いのが。」

「……えっ?…いるの?今時そんな子。」

誰かに伊野尾との関係を認めて欲しかったの
かもしれない。
文化祭終わり、俺は、屋上で高木に伊野尾を
紹介した。
伊野尾はごねて、渋々屋上に現れたのだが、
帰り道は一転、終始ご機嫌だった。

「“お似合い”って言われたね……。」

高木の言葉を反芻し、斜め後でにこにこ笑う
伊野尾が愛しかった。
俺と同じ気持ちだったのだろう。

伊野尾は、高木には心を開いてくれた。
俺は、相変わらず予備校やら生徒会やらで
忙しくしていたので高木の存在は有り難か
った。
伊野尾をひとりにしないで済む。


僅かな時間を共に過ごしながら、寂しさを
埋める様に身体を重ねた。

「……や、ぶぅっ……もっと、ぉ…っ」

伊野尾が切ない声で俺を呼ぶ。

「い、のお……ほらっ、いくよ……っ」

舌足らずな甘い声が俺を刺激する。
ベタベタに甘える伊野尾は、素直で欲張り
だ。
この関係を公に出来ないもどかしさを必死に
埋めようと、何度も身体を揺すった。


3年生になると、更に忙しくなった。
夏休みに至っては、夜遅くまで予備校の授業
が入っていて、伊野尾と会うことも儘ならな
い。
学校の補習を終えると真っ直ぐに予備校へ
向かう日々。

伊野尾は夏休み中、高木と共に予備校に通い
始めた。
俺は、伊野尾が同じ大学に行く気になってく
れたのかもと密かに浮かれていた。
伊野尾は、“薮と同じ大学には行かない”と宣
言していて、 “俺の頭じゃ無理だよ”と笑った
けど、本気を出せば可能だと思っていた。

大学への合格は、絶対命令だった。
合格出来れば、きっと自由になれる。

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設定タグ:Hey!Say!JUMP , BL   
作品ジャンル:恋愛
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ぴよ(プロフ) - けいままさん» たくさんのコメントをありがとうございました!!ゆうと君を登場させる時は漏れなくけいままさんをおもっていました 笑 妄想ではありますがなるべくその世界に浸れるような描写を心掛けていたので、そう言って頂けてとても嬉しかったです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - ゆややさん» たくさんのコメントありがとうございま した!!無自覚シリーズは私も大好きで、自由奔放ないのちゃんを書くのはとても楽しかったです♪また続きをお届けしたいなと思ってます。次のお話も宜しければお付き合い下さい( ´∀`) (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 夏夢さん» たくさんの楽しいコメントをありがとうございました!!お陰様で30話書ききることが出来ました。私もアナログ人間なので捲って楽しむ本が大好きです。たまに読み返して頂けたら嬉しいです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - えりささん» ありがとうございました!えりささんのコメで思い立ったたかいのは、今や大好きなcpです☆えりささんの作品も楽しみにしています。 (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
けいまま(プロフ) - 完結。素敵なお話達ありがとうございました。美しいJUMP君たちが繰り広げる美しい文章の妄想世界。ページを辿るとその世界の空気に触れられるようで、とても楽しませていただきました。最期に長身イケメンのお花屋さんありがとうございます。 (2016年8月30日 22時) (レス) id: d225e5d52f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴよ | 作成日時:2016年7月25日 19時

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