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「学校では、俺のこと気にしなくて良い
からね。」

伊野尾の部屋。
ソファー代わりのベッドサイドに腰掛けた俺
の隣で伊野尾は、いつものサラッとした口調
で言った。

「今まで通りたまに構ってくれたらそれ
で良いよ。ねっ?」

無事、付き合う事になった俺たちだったが
どうも校内では、自由が効かない。
隣同士でありながら、満足に伊野尾に触れら
れない現実に俺は、些か疲弊していた。

いっそのこと、公に宣言しても良いと思った
のだが、伊野尾は断固反対した。
ふわふわした伊野尾には珍しく、それはやけ
にきっぱりとしていた。

「駄目だよ、薮。
薮は、皆の薮なんだから。」

首席入学者に対する校内の期待は、当然に大
きい。
大学進学においても、重要な立場に置かれて
いた。
放課後は、連日の予備校通いだ。
期待され、それに応えるのは、俺の人生の使
命みたいなもので、それ程不自由にも感じて
こなかったのだが、、、

……伊野尾と一緒にいたい、
切なる願い。


「ねぇ……薮、俺は、大丈夫だよ。

こうやって薮と過ごせる時間があるなら、
……それだけで幸せだもの。」

伊野尾は、そう言って俺のシャツをクイッと
引っ張った。
キスして欲しい時の合図。
俺は、柔らかな髪に指を絡めながら、なめら
かな頤にもう片方の手を添えた。
期待に震える長い睫毛、僅かに開かれたピン
ク色の唇にゆっくりと口付ける。

「……っあ、や、ぶぅ……好き…あぁ」

漏れだす喘ぎ声に堪らなくなり、更に深く
口内をなぞる。
伊野尾とのキスは、普段のもどかしさを
埋める大切な儀式だった。

「い、のぉ……愛して、るっ……っ」

耳許で囁きながら、ギュッと強く抱き締めて、隙間なくぴったりと身を寄せた。
伊野尾は、俺の声に背中をぶるぶる震わせる。


伊野尾は、飄々としていながら、ひどく健気
でやたら頑固だった。
俺が、“皆の薮”であることを誰より理解し、
常に一歩後を歩きながら、二人きりになると
ベタベタに甘えた。

俺は、全てを割り切ることにした。

“完璧な俺”であり続けよう。

伊野尾が怖れるのは、きっと自分のせいで
俺が輝きを失うこと……立ち止まってはいら
れない。

○→←○



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設定タグ:Hey!Say!JUMP , BL   
作品ジャンル:恋愛
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ぴよ(プロフ) - けいままさん» たくさんのコメントをありがとうございました!!ゆうと君を登場させる時は漏れなくけいままさんをおもっていました 笑 妄想ではありますがなるべくその世界に浸れるような描写を心掛けていたので、そう言って頂けてとても嬉しかったです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - ゆややさん» たくさんのコメントありがとうございま した!!無自覚シリーズは私も大好きで、自由奔放ないのちゃんを書くのはとても楽しかったです♪また続きをお届けしたいなと思ってます。次のお話も宜しければお付き合い下さい( ´∀`) (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 夏夢さん» たくさんの楽しいコメントをありがとうございました!!お陰様で30話書ききることが出来ました。私もアナログ人間なので捲って楽しむ本が大好きです。たまに読み返して頂けたら嬉しいです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - えりささん» ありがとうございました!えりささんのコメで思い立ったたかいのは、今や大好きなcpです☆えりささんの作品も楽しみにしています。 (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
けいまま(プロフ) - 完結。素敵なお話達ありがとうございました。美しいJUMP君たちが繰り広げる美しい文章の妄想世界。ページを辿るとその世界の空気に触れられるようで、とても楽しませていただきました。最期に長身イケメンのお花屋さんありがとうございます。 (2016年8月30日 22時) (レス) id: d225e5d52f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴよ | 作成日時:2016年7月25日 19時

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