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○fin ページ13

いつもは伊野尾君が早く食べ終わるのに、
今日は先に俺の棒が剥き出しになった。
あんまりゆっくり食べるから、ポタポタと
水色の滴が次から次へと落ちていく。

伊野尾君の指先をベタベタに濡らしながら、
溶け落ちる寸前の塊が……ゆっくり消えた。

次の瞬間、、
俺は、伊野尾君の手を引いて腕のなかに納め
ると隙間なく唇を重ねた。
まだ口内に残る冷たい氷を二人分の舌で舐め
溶かしていく。
ヒンヤリとした冷たさと火傷しそうに熱い
舌先が絡まって、生ぬるくなった唾液が口端
から流れていく。

「…んぁっ……っっ、ふぁぁ…たか、き」

合間に漏れる伊野尾君の艶やかな喘ぎ。
コンクリート壁に身体ごと押し付けて、両手
を頭上に固定した。
ベタベタの指先を口に含み、綺麗にしてあ
げる。
首筋に顔を埋めて、跡を残せない代わりに
柔らかく噛みついた。
白く滑らかで透明な伊野尾君の肌。
本当は、もっともっと触れていたい。


でも…、今日で“ 終わり ” なんだよね?


明日になって、日常が始まれば、伊野尾君
は再び薮君のもとへ戻っていく。
分かっていた筈なのに、苦しくて苦しくて。

伊野尾君は、震えて力を失った俺の胸から抜
け出して、今度は自ら両腕をこちらに伸ばし
てきた。
耳元にそっと顔を寄せて、

「今日…家に誰もいないよ?」

あれは、この夏のご褒美だったのかな。
そこからは、よく覚えていない。
伊野尾君の部屋は、あまり生活感が無くて
ベッドのシーツは、青色だった。
カーテンの隙間から、夕陽が差し込んで
俺の背中を赤く照らしていた。

伊野尾君がこれから先も抱え続けるであろ
う寂しさや苦しみ、悩み、現実……、
伊野尾君は、きっとそれでも薮君を選ぶのだ
ろう。

「…あっ、たか、きぃ…ごめん…なさい」

謝るくらいならご褒美なんていらないのに。
伊野尾君の身体を揺すりながら、涙が止まら
なかった。

俺は、伊野尾君が好きだった。
伊野尾君は、薮君の恋人だった。

…………

秋の終わり、伊野尾君は推薦で志望校に合格
した。
春になる頃、薮君は見事期待に応えてみせて、
俺は、当初より少し上の大学に合格した。

伊野尾君は、相変わらず少し離れて薮君の
隣にいて、時折寂しそうに俯く。


卒業して、もう6年が経つというのに、

こんな夏の日は、ソーダ味のキスを思い出す。

甘ったるくて、ベタベタで、後悔が募る

…………夏色のキス。

(fin)

☆☆☆→←○



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設定タグ:Hey!Say!JUMP , BL   
作品ジャンル:恋愛
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ぴよ(プロフ) - けいままさん» たくさんのコメントをありがとうございました!!ゆうと君を登場させる時は漏れなくけいままさんをおもっていました 笑 妄想ではありますがなるべくその世界に浸れるような描写を心掛けていたので、そう言って頂けてとても嬉しかったです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - ゆややさん» たくさんのコメントありがとうございま した!!無自覚シリーズは私も大好きで、自由奔放ないのちゃんを書くのはとても楽しかったです♪また続きをお届けしたいなと思ってます。次のお話も宜しければお付き合い下さい( ´∀`) (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 夏夢さん» たくさんの楽しいコメントをありがとうございました!!お陰様で30話書ききることが出来ました。私もアナログ人間なので捲って楽しむ本が大好きです。たまに読み返して頂けたら嬉しいです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - えりささん» ありがとうございました!えりささんのコメで思い立ったたかいのは、今や大好きなcpです☆えりささんの作品も楽しみにしています。 (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
けいまま(プロフ) - 完結。素敵なお話達ありがとうございました。美しいJUMP君たちが繰り広げる美しい文章の妄想世界。ページを辿るとその世界の空気に触れられるようで、とても楽しませていただきました。最期に長身イケメンのお花屋さんありがとうございます。 (2016年8月30日 22時) (レス) id: d225e5d52f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴよ | 作成日時:2016年7月25日 19時

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