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俺は、腕を突っ張って壁を作りその中で
いのちゃんはじっと動かず目を伏せていた。
まばたきする度、長い睫毛がふるふる揺れる。
終点間際の大きな駅で、乗換に向かう人々が
雪崩れるように降りていく。

ようやく出来た空間に俺は、いのちゃんから
ゆっくり離れた。
少し惜しい気がしたのだ。
いのちゃんは、目を大きくして真正面から
俺に視線を合わせた。
不思議そうに首を傾げている。

今さらながら名前も名乗っていないこと
に気が付いた俺は、ことの発端を簡単に
説明した。
いのちゃんは、驚いた様に呟く。

「…光が?俺を心配…?」

そして何だか嬉しそうに微笑んだ。
その表情があまりにも可愛くて、俺は不覚に
も胸がキュンとした。
こんな可愛い男いるんだな…圭人よ。
いのちゃんは、そんな俺を改めてまじまじと
見つめてくる。
ドキドキする……。

「ふぅん…それはありがとね“山田”

しかし随分低い壁だったなぁ。
背低いね、お前。可愛い。 」

!?何!何!
その愛らしい唇から放たれた失礼極まりない
台詞に俺は、固まった。
いのちゃんは、楽しそうに10センチ上から
俺を見下ろしている。
その顔は、やっぱり誰より可愛らしかった
けれど…俺はもう騙されないぞと思った。


それなのに…
俺は再び、“いのおちゃん”と並んで電車に
揺られていた。
“いのちゃん”は、光君の呼び方だからと
言われ“いのおちゃん”と呼ばされている。
あれから圭人と光君は連れだって出掛ける
ようになった。
大きな進展がある訳ではないが、圭人は終始
にこにこ幸せそうだ。
並んで歩く二人の姿は微笑ましく、もちろん
応援しているのだが問題もある。

光君不在の帰り道、俺は度々いのおちゃんに
指名される様になった。

「山田〜一緒に帰ろ。」

光君と一緒に俺達の大学までやって来た
いのおちゃんがにやにやしながら俺に腕
を絡めてきた。
圭人は光君とこれからライブに行く。

「…はいはい…分かったから。
腕離してよ…逃げないからさあ。」


「え〜いいじゃん!山田ちっちゃくて可愛いし
俺の彼女になっちゃえっ!」

いのおちゃんは、相変わらず適当なこと
を言う。
圭人と光君が親しくなればなるほど俺は、
いのおちゃんと過ごす時間が増えていった。

いのおちゃんの駅までわざわざ送り届けて
一緒にご飯を食べたり、果ては実家にお邪魔
したり…俺は、妙に多忙になっていた。

でも、またいのおちゃんが変なやつに
狙われたら…昔から使命感が人一倍強いの俺。

○→←○



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設定タグ:Hey!Say!JUMP , BL   
作品ジャンル:恋愛
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ぴよ(プロフ) - unaunaunaさん» ありがとうございます!好きなcpはあるんですがなるべく色々書いてみようと挑戦中です。kthkとか書いてみると意外にしっくりきたり 笑 少しでも楽しんで頂けるよう頑張ります♪ (2016年8月4日 2時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
unaunauna(プロフ) - ぴよさんのお話は素敵なものばかりで短編なのに読んだ後もずっと心に残っています。時に泣きそうになる事も…。カップリングも偏ってなくて珍しいものも多いのに、違和感がなくてすごいです。これからも楽しみにしています。 (2016年8月4日 0時) (レス) id: 69d5b1c889 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - えりささん» 読みましたよ〜完結おめでとうございます!!いのちゃん素敵な誕生日になって良かったぁ☆26歳のいのちゃんも朝から可愛かったですね☆ (2016年6月23日 9時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
えりさ(プロフ) - やまいのも良き☆わたしの方のいのありもなんとか完結しました。続き楽しみにしてます♪ (2016年6月23日 9時) (レス) id: 44ca787f52 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 夏夢さん» いつもありがとうございます!続編こんな感じで大丈夫でしたか? 書いてみたらやっぱりたのしかったです☆ 私も身長差、年齢差大好きですよ 笑 (2016年6月23日 1時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴよ | 作成日時:2016年5月29日 23時

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