この世の欲しを花と云う(続 jump×jump)

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圭人が光君と連絡先を交換して一週間。
今日の圭人は、朝からデレデレで全く使い物
にならない。
裕翔と知念は呆れ顔で、さっさと次の授業へ
行ってしまった。
運悪く俺と圭人は、次が空き時間だ。
天気が良いので木陰のベンチに並んで座る。
圭人は相変わらずひとりニヤニヤしている。

「…おいっ！気持ち悪いよ朝から！！
何ニヤニヤしてんだよ…圭人。」

俺の言葉にハッとしたらしい圭人は、慌てて
こちらに顔を向けた。

「…はっ…ごめん……やまちゃん…
俺そんなニヤニヤしてた……？」

自覚症状も無いなんて相当重症だな。
にやけてるよ！朝からずっと！
冷ややかな俺の眼差しに圭人は、肩をすくめ
ながら謝ってくる。

「いや…今朝光君といのちゃん……
あっ可愛い子ね、と一緒に電車に乗って
きたんだけど……光君に…その…この前
のお礼したいって言われて。
嬉しすぎて……つい…にやにやしてたかも」

要は光君に誘われたって事か。
圭人によれば、光君といのちゃんは共に
大学3年生で幼馴染。
ここから近いとある名門大学に通っている。
木曜日以外も殆ど一緒に登下校してるらしい。

光君は、音楽が好きでいつも読んでいた雑誌
も音楽系のものだった。
圭人と同じアーティストが好きで、ベースを
習っていたり、作曲もしたりと趣味が驚く程
共通していたという。
圭人は、興奮気味に話してくれた。

それで来週、お礼も兼ねて二人で出掛ける
事になったらしい。

「楽器屋に寄って、セッションして、食事する
予定なんだよ！！楽しみ過ぎて…」

おおっ…デートの約束取りつけたのか。
圭人は、間違い無く光君の事が好きだ。
にやにやしっぱなしの圭人は、少し気持ち
悪いが…ここは親友として応援してやるか。

「…良かったな、圭人。そりゃまぁ
にやけても仕方ないっちゃ仕方ないな。」

エールを込めて肩をぽんっと叩いてやる。

「ありがとう…やまちゃん…。
俺、頑張るね！！！」

圭人がうるうるした瞳で声を震わせて
そう宣言した。
しかし、その後何故か考え込む様な表情を
見せた圭人は恐る恐る俺に続けた。

「あの…その件でなんだけどさ…実は
やまちゃんにお願いしたいことか
あるんだ……」

「はあ？？」

……？俺に？
完全に不意をつかれた俺は、心底鹿みたい
な顔をしていた…と思う。

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