検索窓
今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:354,701 hit

ページ18

もと来た道を全力で駆け抜け、駅へと戻った。
いのちゃんの涙が頭に焼き付いて離れない。
走ったことと激しい動揺で身体中が激しく脈を打つ。
苦しい…苦しくてたまらない。


ガタン…ガタン…ガタン…
間もなく到着した各駅停車に揺られながら帰路につく。
車両は規則的な音をたて、身体を揺すった。
高ぶった心音が次第に落ち着きを取り戻す。
一転して俺は、妙に冷静に考えていた。

いのちゃんの涙の原因は何?
薮君は何を知っているの?
あそこには一体何があるの?

いのちゃんのこと全て知りたい。
そう願っているなら立ち止まってはいけない。
だって…俺なら…俺なら…
傍らに立つだけじゃなくて
泣いているいのちゃんを
抱き締めてあげれるのに。



次の土曜日、俺は一人で薮君の家へ向かった。
小さい頃はよく遊びに来ていたけど
こうして訪れるのはひどく久しぶりだ。
薮君は、少し驚いた顔をしてそれから
ふにゃりと笑い俺を迎えてくれた。

「裕翔どうした?
家に来るなんて久しぶりだな。」

いつも変わらず優しい薮君。
この笑顔を曇らせたい訳じゃないけど。

「……薮君……光って誰……?
……ふたりの大切なひと…??」

確かめずはいられなかった。


ー木曜日。
午前で終わった授業の後、再び訪れた霊園。
目的の墓石へは不思議と迷わず辿り着いた。
持参した線香に火を付け、枇杷を供えた。
静かに手のひらを併せ頭を下げる。
確かめるように視線を上げた先には
建立されてまだ数年の黒光りする綺麗な墓石。
4年前の日付と共に刻まれた名前はたった一人
“八乙女 光 ” その人ー


薮君は一瞬表情を固くした。
しかし、すぐ諦めたみたいに笑って
ソファーに腰掛けた俺の隣にすとんと座った。

「…やっぱり裕翔があの枇杷供えて
くれてたんだな……
昨日行った時に気が付いて……
正直来るかなと覚悟はしてたよ。

お前は昔から伊野尾が
好きだったもんなぁ…」

天井を見上げながら薮君は大きく息を吐く。
そうだよ…俺はいのちゃんが好き。
ずっと前から。
だから教えてよ。全部。全て教えてよ。

○→←○



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (349 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
530人がお気に入り
設定タグ:Hey!Say!JUMP , BL   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぴよ(プロフ) - unaunaunaさん» ありがとうございます!好きなcpはあるんですがなるべく色々書いてみようと挑戦中です。kthkとか書いてみると意外にしっくりきたり 笑 少しでも楽しんで頂けるよう頑張ります♪ (2016年8月4日 2時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
unaunauna(プロフ) - ぴよさんのお話は素敵なものばかりで短編なのに読んだ後もずっと心に残っています。時に泣きそうになる事も…。カップリングも偏ってなくて珍しいものも多いのに、違和感がなくてすごいです。これからも楽しみにしています。 (2016年8月4日 0時) (レス) id: 69d5b1c889 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - えりささん» 読みましたよ〜完結おめでとうございます!!いのちゃん素敵な誕生日になって良かったぁ☆26歳のいのちゃんも朝から可愛かったですね☆ (2016年6月23日 9時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
えりさ(プロフ) - やまいのも良き☆わたしの方のいのありもなんとか完結しました。続き楽しみにしてます♪ (2016年6月23日 9時) (レス) id: 44ca787f52 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 夏夢さん» いつもありがとうございます!続編こんな感じで大丈夫でしたか? 書いてみたらやっぱりたのしかったです☆ 私も身長差、年齢差大好きですよ 笑 (2016年6月23日 1時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぴよ | 作成日時:2016年5月29日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。