○fin ページ13
「…っ…伊野尾！！
もういいよ…もう話さなくていいから！」
震えながら傷痕をさらけ出す伊野尾が痛々しくて見ていられなかった。
でも、愚かな俺は伊野尾に触れてはいけない。
彼をこれ以上傷付けてはいけない。
そう思ったのに……
伊野尾は、すっと右手を伸ばし
綺麗な白く細い指先で俺の左手をとった。
いつの間にかシャツのボタンが外されている。
そして、そのまま自身の首もとへと
俺の左手を導いた。
「……薮…ごめん……
薮は…俺を守ってくれるって言ったのに
…俺は…薮に触れて欲しくてたまらない…
あの日…薮が触れた時から……
身体が……熱くて仕方がないんだ…… 」
導かれた伊野尾のシャツの中は、触れただけで
火傷しそうな程熱かった。
伊野尾は泣きそうに顔を歪め、俺に謝罪する。
「……俺…俺の身体…汚され過ぎて
きっとおかしくなっちゃったんだ…
薮っ……ごめん…ごめん…ごめん……」
違うよ、伊野尾。
そうじゃない。
きっと、それは…
「伊野尾、謝んな…よく聞け！
俺が触れたところが熱いのは
俺が伊野尾を愛してるからで、
伊野尾が触れて欲しいと願うのは
伊野尾が…伊野尾が俺を…
愛してるくれてるからなんだよ！」
伊野尾は汚れてなんか無い。
俺は馬鹿だから、伊野尾の傷痕に無理矢理触れることでしか愛を表現出来なかった。
シャツの中、隠された傷痕に触れさせてくれたのは伊野尾なんだよ。
俺はもう躊躇なく目の前の伊野尾を抱き寄せると、その柔らかな部分へ口付けた。
僅かに開かれた隙間から舌を捩じ込み
口内を全て掻き回す。
俺が綺麗にして上げるから。
シャツのボタンを外し、触れていた首もとから順に舌を這わせた。
見えない傷痕を辿り、全て俺で塗り替えようと
いくつも跡を付けた。
「……薮っ…あふっ……あぁぁっ……っ」
伊野尾は、ビクビクと素直に反応しながら
俺の名前を呼ぶ。
甘く濡れたその声は、俺の全てを溶かし
もう伊野尾への思いを止めることは出来なかった。
ー夏服、最後の夕暮れ
夏が逝く前にひとつになろうかー
(fin)
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ぴよ(プロフ) - unaunaunaさん» ありがとうございます！好きなcpはあるんですがなるべく色々書いてみようと挑戦中です。kthkとか書いてみると意外にしっくりきたり 笑 少しでも楽しんで頂けるよう頑張ります♪ (2016年8月4日 2時) (
レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
unaunauna(プロフ) - ぴよさんのお話は素敵なものばかりで短編なのに読んだ後もずっと心に残っています。時に泣きそうになる事も…。カップリングも偏ってなくて珍しいものも多いのに、違和感がなくてすごいです。これからも楽しみにしています。 (2016年8月4日 0時) (レス) id: 69d5b1c889 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - えりささん» 読みましたよ〜完結おめでとうございます！！いのちゃん素敵な誕生日になって良かったぁ☆26歳のいのちゃんも朝から可愛かったですね☆ (2016年6月23日 9時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
えりさ(プロフ) - やまいのも良き☆わたしの方のいのありもなんとか完結しました。続き楽しみにしてます♪ (2016年6月23日 9時) (レス) id: 44ca787f52 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 夏夢さん» いつもありがとうございます！続編こんな感じで大丈夫でしたか？ 書いてみたらやっぱりたのしかったです☆ 私も身長差、年齢差大好きですよ 笑 (2016年6月23日 1時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴよ
| 作成日時：2016年5月29日 23時
