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「 実はさっきから気が付いては
いたんだよ、お茶ならもう良い
頃合いに仕上がってるからね」
ひかる、と呼ばれた彼は、にこにこ
しながら丸い盆に乗せた湯呑みを差し
出してくれた。
「……ありがとう、でも俺猫舌で」
言い掛けておいて受け取った湯呑みが程好く
温んでいるのに気が付いた。
「ふふ、言ったでしょ。
ちゃんとだいちゃん仕様に仕上げて
あるんだから。」
トンっと胸を張りながら誇らしげに口角を上
げた彼は未だあどけなく純粋無垢な雰囲気を
纏って見えた。
「光はちゃんとお客様の好みが分かるん
だよ。まぁ、でも暫くはここに居る事に
なるだろうからお客様っていうのもよそ
よそしいね。」
「いのちゃんったら何だか楽しそう」
並んで腰掛け、同じく湯呑みを啜りながら
二人は好き勝手に話を進めている。
いや、俺だってこの雨が上がったら、
上がったら？
「……俺、何でここにいるの？」
どこから来たのか、そもそも迷い込んだ理由
さえ分かりもしないのに、帰る先なんて見つ
かる筈も無いじゃないか。
「だいちゃんに良い事を教えてあげる。
“諦めの悪い者だけが最後まで
夢を見れるんだよ“ 」
答えに代えていのちゃんはそう言って、
またゆったりと微笑んでみせた。
「…いのちゃん、ひか、」
何故だろう、さっきまで知らなかった彼等
の名前を俺はすんなり口にしている。
まるでもうずっと前から知り合っていたかの
様に、こんなにも身近で温かい。
「雨が上がれば直に皆も遊びに来るよ。
きっと喜んでくれるから、何にも心配い
らないよ。」
ひかは茶菓子入れに盛った彩りの良い干菓子
を摘まみながら楽しげに天を仰いだ。
さっきまで分厚い雲に覆われていた空は、俄
明るさを取り戻しうっすら日が差してきた。
軒下に出来た水溜まりへポタポタと水滴の名
残が落ちる度丸く波形が広がっていく。
「なぁんだ、もう止んでしまいそう。
暫くは降ってるものだと思っていた
のに。」
いのちゃんだけは、少し残念そうに
唇を尖らせている。
「俺、ここに居て良いの？」
「勿論だよ、だいちゃん」
いのちゃんとひかはそう口を揃える。
腰掛けの赤い敷布の上、さっきからずっと
繋いだままの指先が楽しそうに踊っていた。
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ぴよ(プロフ) - coさん» coちゃんコメントありがとうございます＊掴みどころの無い不思議な世界で一見普通にでも奇異に存在する彼等を表現したいなと思って書いています。うまく表現出きるのか‥楽しく挑戦できたらなと☆ (2020年8月19日 0時) (
レス) id: 20d979f9fd (このIDを非表示/違反報告)
co(プロフ) - きゃらきゃらと笑いあうinとhk。何処にも属することのない（俯瞰する？）大ちゃん。夏の暑い夜に涼風が立つようなお話、楽しみにしています(^ ^) (2020年8月17日 0時) (レス) id: 1fe03fc97a (このIDを非表示/違反報告)
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