30 ページ30
.
『す、……、好き？』
「もお、何回言わせるつもりなの？」
はずかしいんれすけろ、とやっぱり怪しい滑舌で。
大好きなんだってば、ともう一度言った。
『……泣きそう、』
「Aちゃんとっくに泣いてるけど」
『だって、』
「ね、Aちゃん、」
優斗くんが何かを言いかけた時、お店の扉が開く音がする。
入ってきたのは高校生くらいの女の子たち。
片方の子那須くんのアクスタ握りしめてるからきっと、というか絶対オタク。
慌てて優斗くんがキャップを目深く被って、顔を隠した。
「……も、出よっか」
『お会計するから先出てて？』
優斗くんだってバレたら大惨事、でも……、と不満げな優斗くんの背中を押した。
アイドル “高橋優斗” の足を引っ張るようなことは死んでもしたくないの。
『お会計お願いします』
「はい、」
お会計を終えて店を出ると優斗くんの姿はなくて、
〈ファンの子に見つかっちゃったから少し離れたところにいるね〉
〈五時から仕事入ってるんだけどもう少しだけ話せるかな？〉
《優斗くんお仕事あるなら行ってください……！今日はありがとうございました！》
時計の針は三を指している。
長くいればいるだけ好きが募ってしまうから。
〈そっか……、Aちゃんに払わせちゃったし今度は俺にご馳走させてね？〉
再びこみ上げてきた涙をぐっと堪えて、家に向かう。
本当、夢のような時間だったなぁ、……。
優斗くんからもらった“ 大好き ”は一生の宝物だ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2359人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうぴ(プロフ) - めちゃくちゃ良かったです…ゆうぴのリアコ枠がめちゃくちゃ活かされてて最高でしたー！！！！！ (12月13日 3時) (
レス) @page37 id: b2a645d028 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - 楽しみにしてます！ (2019年10月11日 12時) (レス) id: 71afd1e377 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいちご - 更新楽しみにしてます！！ (2019年8月13日 16時) (レス) id: 7b3b434bb6 (このIDを非表示/違反報告)
姫乃 - すごく面白いです！更新頑張ってください！ (2019年8月8日 22時) (レス) id: 9e2d6dd53f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アオ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=blueao5
作成日時：2019年7月17日 22時
