同居人のリュウセイ3 (ページ41)

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愛しき君ページ41

…

『え。嘘でしょ？……藤井くん？』

なんでここにいんの。

藤井『…えっと、と、とりあえずいいからその人から手。離してや？』

上田『え。っと、あの。』

藤井くんが不機嫌そうに顎で私たちを指す。

この人、誰にでもこういう態度なんだな

『どうしたの……？』

藤井『ええか？よく聞け。こいつはな、お見合いで女を誑かす詐欺師なんや！』

上田『さ、詐欺師…？』

『ちょっと！藤井くん！』

藤井『こいつ、何回もお見合いしてるらしいで。ほら、騙されてるんとちゃう？』

…

沈黙が続く

うちの両親は黙るし、仲人さんも黙るし、上田さん側のご両親はこめかみピクピクさせてる。

そりゃそうだよね。

自分の息子を目の前で詐欺師呼ばわりなんて

上田『いや、ちょっと待ってくださいよ』

上田さんがこっちに近づいてくる。

藤井くんは前に立って私の手首を掴んだ。

藤井『こっち、早く。』

何となく、藤井くんが走り去っていく方向に私も一緒に走ってしまった。

多分その時の親の顔を私は一生忘れることはできないと思う。

藤井『もうちょっとやから。』

『なにが…？』

藤井『……なんとなく？』

『なんとなくなによ。』

藤井『…何となくあんたに見せたいものがあるから。』

藤井くんはこめかみを掻きながらそういった。