■□モノクロ□■ (ページ6)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:26,952 hit

□６ページ6

・

和「おーい、A。行くぞ」

『はい！』

今日は二宮さんとクライアント訪問。

時間の読めない車は使用せず、電車移動。

実は、私は電車が苦手...

学生時代に電車で痴漢に遭い、トラウマになってしまった。

誰かと一緒なら大丈夫。

今日は二宮さんがいるから平気。

ちょうど利用客の多い時間帯に当たってしまい、二宮さんと私はドア付近に立っていた。

一駅進むたびに次々と乗車してくる人並みに、

私の身体はぎゅうぎゅうと押され、ちょうど胸の前に男性の腕がある状態。

血の気が引いて、額から油汗がにじむのがわかる。

どうしよう...

気持ち悪い...

気を失いそうになったとき

グイッと腕を引っ張られ

ドスン、と

二宮さんの身体に寄りかかるように入り込んだ。

和「大丈夫か？」

二宮さんは、私の身体が他の誰かに触れないよう、自分の身体をくるりと反転させて、庇うように包んでくれた。

『大丈夫...です、、、すみません』

優しく笑う二宮さんの

薄茶色の瞳に、車窓からふりそそぐ陽の光が入り込んで

淡い黄色いオーラのような空気をまとっていた。

二宮さんは、なぜ私を庇ってくれたんだろう。

電車が苦手だと、言ったことはない。

二宮さんのこういう優しさって、、、

心臓に悪い。

・