56話 ページ7
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話が終わると、きりやんさんは再び調理台に向き合った。
調理台の上には、野菜やお肉、見たことがない調味料が揃えられている。
どれもかなりの量がある。そういえば私が見てる限り、料理はいつもきりやんさんがやってる。
一応、家事はみんなやってるみたいだけど、家のことやってるのはほとんどきりやんさんだとBroooockが言ってた。
……私に何かできないかな。
『なにか手伝いますか』
Kr「えっ？」
私の急な申し出に、きりやんさんは意外そうに目を丸くした。
『ここにいるのに何もしてないので…』
Kr「別に気にしないでいいけどな…。ん−、じゃあ飯作んの手伝って。今日みんな集まるし、アイツらそこそこ食うから量いるんだよね」
『はい』
なるほど、みんな来るからこんなに材料が多いんだ。
たしかによく食べる人が多い。でも一番食べてるのはきりやんさんな気がする。
Kr「野菜切ってくんね？カレー作るからテキトーなサイズに切ってくれればいいよ」
『て、てきとー…』
目の前にはニンジン、ジャガイモ、玉ねぎが並んでいる。
とりあえずニンジンを手に取ってまな板に乗せる。カレーのニンジンの形ってどうだっけ？
包丁を持って切ろうとすると、隣から大きな声が耳をつんざいた。
Kr「ちょッ！！その持ち方なに！？」
『へ』
Kr「あっぶな！！手切るよそれ！？」
慌てた顔をするきりやんさんとは逆に、私は呆然とするしかなかった。
Kr「…もしかして、料理やったことない？」
『ないことは、ないです…』
Kr「それやったことないヤツじゃん…マジか…」
今度はきりやんさんが呆れた顔をしてしまった。
Kr「家にいた時とかやってない？」
『……ない、です』
Kr「でも、家庭科とかでやんねぇ？」
『それはやりましたけど…』
Kr「Aって不器用？」
グサリ、と突き刺さった「不器用」という言葉。その通りかもしれない…。
家にいた頃は母親が作っていた。手伝おうとした時はあった。でも、そんな暇があるなら勉強して、と怒られてしまってからは包丁に触る機会がほとんどなかった。
不器用…。私はゲームだけじゃなくて、料理もできない人間なのかな……。
Kr「あー……ちょっと貸して」
『？』
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作者名：おやすみこ | 作成日時：2022年2月24日 10時
