82話 ページ40
.
『か、髪切ってもらってる時に、パサパサだって言われて…っ、Broooockの使ってるって言ったら、メンズものだから合ってないんだろ、って…だから………』
Br「……そういうことかぁ」
たどたどしく説明する私に、Broooockは深く息を吐いた。
さっきより雰囲気は和らいだけど、それでもいつもの彼と違う。
私、なにを間違えたのかな。Broooockが嫌がることしちゃったのかな…。
徐々に募る不安に体を
おそるおそる顔を上げると、そこには優しく微笑むBroooockがいた。
Br「明日、Aちゃんのシャンプー買いにいこっか」
『え』
Br「ちゃんとそこも用意するべきだったね、ごめん」
『いや…、…ねぇ、Broooock……』
Br「ん？」
どうして素っ気なくなるの？不機嫌になるの？
どうしてそんな怖くて、悲しそうで、寂しそうな顔するの？
どうしてBroooockが謝るの？私が悪いんじゃないの？
どうして…なにも教えてくれないの……？
頭に浮かんだ全てを聞きたい。だけど…答えを知りたいのと同時に知るのが怖かった。
そこへ踏み込む勇気もなかった。
『……ううん、なんでもない』
Br「そっか、髪ツヤツヤなのかわいいね」
『…！！ っえ、』
突然の目の前の光景に目を疑った。
綺麗な長い指がさらりと髪を
見間違いかと思ったけど、わざとらしく発さられたリップ音が間違いじゃないと知らしめた。それに、交わった彼の瞳が震え上がるほどまっすぐで、熱くて、一瞬にして脳裏に焼き付いた。
Br「さぁーて！僕もお風呂入ってこよーっと」
『え？あ、うん…』
さっきのは別人？と疑うほどガラッといつもの雰囲気に戻ったBroooockはあっという間に部屋を出ていった。
『……………どうして』
最近のBroooockは私の知らない顔ばかりする。
体中が熱い。キスを落とされた毛先が熱を持って、そこからじわじわと全身に広がってるみたい。頭がクラクラする。胸の鼓動もドクドクと早くなっている。
胸が苦しい。苦しいけれど、この苦しさが嫌だと思わないのはどうして…？
『こんなの知らない…』
知らない。知らなくていい。
少し前の私ならそう思っていた。
でも今は、この答えを知りたがっている私がいる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おやすみこ | 作成日時：2022年2月24日 10時
