77話 ページ35
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-12日目-
ちょこんと椅子に座る少女と、片手に鋏を持った緑眼の男。
少女は無表情で、男は
Sh「あー…他人の髪切ったことねぇから緊張すんな」
『失敗しても大丈夫だよ』
Sh「それお前が言うなって」
男は鋏を持ち直し、おしっと小さく意気込んで少女の髪に触れる。
「A、髪伸びたね」
ことの始まりは誰かのそんなひと言だった。
Br「おはよ、Aちゃん」
『んぅ、おはよ…』
Br「ふはっ寝ぼけてんね〜」
ぷっと吹き出したBroooockに寝癖のついた頭をわしゃわしゃ撫でられる。
寝癖がわからなくなるぐらい更にひどい頭になったけど、あとでBroooockが直してくれることを知ってるからされるがままでいる。
Br「さ、歯磨いてー顔洗ってー髪整えてーごはん食べよ〜」
『うん』
彼らと過ごしていくうちに、だいぶ生活リズムが整ってきたように思う。
Broooockに合わせて朝起きて、ちょっとではあるけどご飯を毎日食べて、明日に響かない程度の時間に眠りにつく。
そんな生活リズムのおかげなのか、今までで一番体の調子がよかった。
『……』
Br「ん?どした?Aちゃん」
『ううん』
いくらここで健康的に過ごしても、一か月経てば元に戻ってしまうんだ。
Kn「A、髪伸びたね」
朝食を食べていた時だった。
数日ぶりにシェアハウスに泊まっていたきんときの一言でみんなの視線が一斉に集まる。
Kr「たしかにな、特に前髪長い」
『そうかも』
Br「邪魔じゃない?僕が切ってあげようか?」
Sh「絶対失敗するだろ」
Br「そんなことないよぉ!」
Kr「Broooockが失敗するに一票〜」
Kn「俺も入れるわ」
Sh「俺も」
Br「ええ?なんでぇ??」
私は一言も「切って」とお願いしてないのに、Broooockが切るか否かで騒いでいる。
自分ではあまり自覚がなかったけど、言われてみればたしかに伸びてる気がする。前切ったのいつだったけ…。
Kn「シャケに切ってもらえば?自分で髪切ってんじゃん」
Sh「え?俺??」
Br「えーっ!僕やりたぁーい!!」
Kr「自分の髪でも切ってろ、ハゲ」
一悶着の末、自分で髪を切っていて手先が器用だというシャークんが切ってくれることになった。
Broooockがまだぶつくさ言ってるけど、きんときが宥めてくれたおかげでだいぶ大人しくなっていた。
Sh「じゃあさっそくやるか」
『(あれ?結局、私関係なく話進んでた…?)』
こういう経緯で冒頭に至ったわけである。
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作者名:おやすみこ | 作成日時:2022年2月24日 10時