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65話 ページ16

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『………お母さんに見てもらえるようにいろいろ頑張ったけど、全部ダメだった。こんな私にできることなんて最初から一つもなかったんだ。だから、いらないって言われるのも仕方ないの』

Br「そんなことないよっ!いらないっておかしいよ!」

『……、…もういいの。もう捨ててきたからいいの。全部どうでもいい』

はなから愛情なんてなかったんだ。
ありもしないものを求めていた私はなんて愚かだったんだろう…。

Br「……そっか。話してくれてありがとね」

『…うん』

Broooockは静かに微笑んだ。哀愁(あいしゅう)を滲ませた笑みだった。
Broooockの指先が伸びてきて私の目元にそっと触れた。なにかを拭うような仕草に違和感を覚えつつ、くすぐったくて思わず目を細めた。

Br「……頑張ったね」

『え…?』

Br「つらいこといっぱいあったのに、Aちゃんはよく頑張ったよ」

『でも全部意味なかったから……』

Br「そんなのありえないよ」

『? ありえないって…?』

Br「だって一つ一つAちゃんがやってきたことでしょ?一生懸命やってきたものに意味がないワケないよ。ただ、結果が悲しかっただけで……Aちゃんが(きず)いてきたものはなくならないし、無駄にならない」

『そう、かな…』

Br「うん!そうだよ!あーあ、僕がAちゃんのお母さんだったらめちゃくちゃ褒めたのになぁ。褒めて褒めてたくさん可愛がったのにな〜」

『……っ、ぅ』

Br「? Aちゃん?どうかした?」

『っなんでもない…』

いまさらやめてよ。
ずっと望んでいたものを、彼に言われたって何の意味もない。Broooockが代わりになれるはずないし、そもそも愛情を求めるのはとうにやめた。
それなのに、どうして泣きそうになるほど嬉しいの……?

Br「……そっか。よしよし。Aちゃんは頑張り屋さんで優しくて、いい子だね」

『そんなことない』

Br「んー?あるよ。大ありだよ。……ホントは当時のAちゃんにしてあげたかったけどね。これからは僕がAちゃんのこといっぱい見てるし、褒めてあげる」

『……いらない』

Br「拒否権ないでーす。僕がやりたいからやりまーす」

そう言ってBroooockは手加減なしに頭を撫で回してきた。そのせいで髪の毛がぐちゃぐちゃだ。でもすぐに直してくれた。
さらさらと髪を()くその手つきはどこまでも優しかった。

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:おやすみこ | 作成日時:2022年2月24日 10時

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