63話 ページ14
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Side You
みんなと夜ご飯を食べた日の夜。
月明りがカーテンの隙間からわずかに差し込む暗い部屋。そんな中、私は大きなクッションに埋もれてぼーっとしていた。
もう寝よっか、とBroooockとおやすみを交わしてから結構経った気がする。いつも目を閉じたらすぐ眠れるのに、今日は全然眠くならない。
もう何度目なのか、静かに寝返りを打つと、ベッドの方から布が擦れる音が聞こえた。
そのあと、控えめに私を呼ぶ彼の声。Broooockも起きてたんだ。
Br「Aちゃん…起きてる?」
『うん』
Br「ここの生活はどうかな」
『どうって…』
Br「楽しい?」
『別に』
考える間もなく答えた。
何がおかしかったのかわからないけど、Broooockはそれに対してクスクスと小さく笑みを漏らしていた。
Br「……ねぇ、Aちゃんの話聞きたいんだけど、いいかな」
『え』
Br「話せる範囲でいいから」
『でも、私の話なんて…』
Br「おねがい」
『…っ』
きっとBroooockが聞きたい話というのは、私が家出した理由とか身の上話だろう。もしくは、それじゃないほうの……。
どちらにしても、私の話なんてつまらないものだし、何より聞いてて気持ちのいい話じゃない。
そんなこと、彼も十分わかってるだろうに。
『聞いたら嫌な気持ちになるかも…』
Br「ならないよ、大丈夫。そっちいってもいい?」
『……うん』
Broooockはベッドから出て私のそばにやってきた。私も起きようとしたらやんわりと制された。
瑠璃色の瞳が私を見下ろす。暗い部屋の中でも、その輝きははっきり見てとれた。
その綺麗な瞳をじっと見てたら「そんなに見られると恥ずかしいよぉ」なんて照れ臭そうに笑った。だけどそれは一瞬で、すぐに真剣な眼差しを向けてきた。
Br「Aちゃんって家出してきたんだっけ」
『うん』
Br「どうして家出したの?」
『…………』
やっぱり気になるよね。ずっとそれを聞きたかったよね。
この前のデートの時もそんな感じしてた。あの時はBroooockが引いてくれたから話すことなかったけど、今日のBroooockは違う。踏み込んでくる。
でも、不思議とそれが苦しいと思わなかった。
そして私は彼の聞き心地のいい声に導かれるように口を開いた。
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作者名:おやすみこ | 作成日時:2022年2月24日 10時