【WT】根無草は夜明け色の夢を見る【Br】 (ページ48)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:11,118 hit

47話ページ48

.

Br「Aちゃん」

指先から体温がなくなりそうな感覚に陥った時、ポンッと頭の上に何かが乗っかった。
顔を上げると、Broooockが私の頭をポンポンと撫でていた。

『……？』

Br「そんなことないよ。僕にとってAちゃんの一つ一つ知ることはいいことなんだよ。ほんの些細(ささい)なことでも、君のこと知ることができたらたまらなく嬉しくなるの」

『ぶ、るく……』

そんなのあり得ない。信じられない。
そう思うのに、まっすぐ見つめる瞳が嘘偽りなんてないと語りかけていた。
優しく、柔らかく笑うその顔が震える私を安心させてくれるようだった。

Br「一気に聞くのもよくないか〜。ごめんね、Aちゃんとこうしてゆっくりできるの嬉しくてはしゃぎすぎちゃった。また今度、Aちゃんのこと聞かせて？」

『……うん』

Br「っわ！もうこんな時間かぁ〜、結構話してたね！疲れたでしょ？帰ろっか」

『うん』

なんの声かけもなく再び繋がれた手。彼から伝わる体温が冷えかけていた体をほぐしていく。
……変なの。あんなに苦しかったのに、もうなんともなくなってる。

日が傾き始め、青から橙色へと移り変わっていく空。
Broooockと未だに手を繋ぎながらシェアハウスへ帰る。ずっと握られてる私の手は、彼の熱が染み込んですっかりあたたかくなっていた。

Br「ねぇAちゃん…これは僕のワガママなんだけど、その服、僕と出かける時だけ着てくんない？」

『…？いいよ』

Br「へへ、ありがと」

『っあ、Broooock、』

Br「ん～？」

『服、ありがとう』

Br「ふふ、いいよ！…すごく似合ってるよ、それ。また一緒に出かけようね」

『うん』

Broooockはなにか噛みしめるように甘く微笑んだ。
夕焼けの光に照らされたその顔がやけに綺麗に見えた。

Br「ねぇ〜見て見てきりや〜ん」

Kr「あー？」

シェアハウスに戻るなり、Broooockはきりやんさんに新しい服を着た私を自慢げに見せつけた。

Kr「…なんかBroooockみたいな恰好してんな」

『(…！あ、そういえば…)』

感じていた既視感は、Nakamuが紹介した動画にあったBroooockのゲームキャラだった。通りで見たことあると思った。
「わかっちゃうかぁ～」と頭上から満更でもなさそうな声が聞こえた。

.