4話 ページ5
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Side Br
ブブッ、とポケットに入れていたスマホが振動する。
通知を見てみれば、きりやんから[ついでにこれ買ってきて]というものだった。
小腹が空いたからちょっとコンビニ行くだけだったのに、余計なおつかいも増えちゃった。
OKのスタンプを返して、スマホをポケットにしまい込む。
頼まれてるものとは違うものを買ってきてやろうか。きりやんの反応を想像すると面白いけど、怒られるのは間違いないからやっぱりやめておこう。
コンビニへと歩みを進めていると、ポツポツと雨が降り出してきた。
Br「うへぇ〜雨ぇ？」
小雨ならよかったのに、だんだん雨脚が強くなってきた。
傘なんてもちろん持ってきてない。
ここまで来たけどUターンして帰る？でも、きりやんに頼まれてるしなぁ。走ればいっか。
ぱっと結論を出した僕はフードを深く被り、走り出した。
もうすぐ商店街だ。
そこを過ぎれば目的のコンビニに着く。
「———…れはねーだろ！！」
Br「！？」
曲がり角に差し掛かろうとした時、突如大きな怒声が聞こえた。
思わずその場で足を止め、角からそろりと様子を覗き見た。
数少ない街灯が頼りなさげに商店街を照らしている。その一角を見た瞬間、ギョッとした。
チャラそうな男二人が、女の子を押さえ込んでいた。
Br「(助けなきゃッ！！)」
そう思い立ってから、行動に出るまで一瞬だった。
バッ！と曲がり角から飛び出し、大声を上げて、無我夢中に女の子の元へ走り出した。
そこからはよく覚えてない。
激しい感情に流されるまま、僕は暴れて、正常な意識を取り戻した時には暴漢たちはもういなかった。
いつの間にか抱き締めていた女の子に声をかける。
あんなことされてすごく怖かっただろう。
Br「君、だいじょうぶ？」
………？
声をかけたのに返事がなかった。
まだ怯えているのだろうか。それとも、僕が目の前で暴力を振るったからそれに怖がってる…？
不安になって肩に回していた腕の力を緩めると、彼女はそろそろと顔を上げた。
僕を見上げるその瞳は、真っ黒だった。
夜だから、というのもあるかもしれないが、やけに暗い瞳だった。
その瞳は、なにも映したくないと拒絶してるようだった。
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作者名：おやすみこ | 作成日時：2021年12月1日 0時
