【WT】根無草は夜明け色の夢を見る【Br】 (ページ19)

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18話ページ19

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Nk「クリア条件ってなに？」

Br「Aちゃんが元気になって、心から笑ってくれたら」

『…！』

Broooockさんの言葉に耳を疑う。
……笑う？私が？ずっと心から笑ったことないのに？
笑みを浮かべるような感受性なんて、とうに失くなったっていうのに？

Nk「そんなん秒でクリアできんじゃね？俺らワイテルズだし！人を笑わせる自信あるよ！」

Br「いや、僕以外の人がクリアしちゃダメ！僕がやるの！」

Nk「えぇっ！？」

Kn「てかゲーム感覚でやるなよ」

なぜかノリノリなNakamuさんに、Broooockさんは変なこだわりを見せつけて一蹴(いっしゅう)した。
きんときさんが突っ込みを入れるが、Broooockさんは意に介さず、私を上目遣いに覗き見る。そのまっすぐとした、縋(すが)るような視線が突き刺さる。

Br「他のところ行っちゃダメだよ。ここにいてね」

『……』

彼の視線が“絶対逃がさない”と言ってるみたいで、私は出て行くとも言えず、言葉に詰まってしまう。
周りはしんと静まり返っていて、私がどう答えるのか窺ってるようだった。

『(なんだかもう…考えるの嫌だな……)』

困惑と、焦燥(しょうそう)と倦怠(けんたい)。
頭の中はそれらで埋め尽くされ、キャパオーバーすると胸が苦しくなってくる。
苦しくなるなら、もういっそ、言うこと聞けばいい。昔からそうしてきたんだから。
目の前の彼は真剣な顔してるけど、きっと一か月もしないで、私をここから追い出すだろう。すぐに飽きるはず。
それに、出て行きたくなったらその時にまた考えればいい。
……もう、いいや。

———コクリ。

長い沈黙の末、小さく頷いて応えた。
その瞬間、Broooockさんはパァッ！と眩しいくらいの笑みを浮かべた。

Br「一か月間、よろしくね！」

……なんか、この人にすっごく振り回されそう。
警察より、とんでもないものに捕まってしまったかもしれない。

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