夜明け (ページ5)

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目が覚めると既に日は登っていた。
優しい光が顔に当たり、
暖かい空気が体を包む。

あまりの心地よさに
自分は天国にいるのだと思った。

しかし、やけに体も顔も痛むので
不思議になってゆっくり体を起こしてみれば
そこは天国なんかではなかった。

体の原型をとどめていない父の姿。
崩れた建物。
血の池に倒れる人々。

自分の視界から
色が抜け落ちていくのを感じた。

自宅に向かえば、
そこはもっと酷いものだった。

家の屋根は崩れ、
壁には穴があき、
扉は見当たらず、
倒れていないのが不思議なくらいだった。

息をしている人もいなかった。
足がない人
手がない人
顔がわからない人
見覚えのある髪飾り
見覚えのある手ぬぐい
血に濡れた母の体

私は一人取り残されたのだと悟った。
私は誰も助けられなかったのだと絶望した。
私だけなぜ生きているのだろう。

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私はフラフラと歩いていた。
文字通りフラフラと。
ここはどこだろうか。
何日経ったのだろうか。
昼なのか、夜なのか。

気づいたら道ではない
山道を進んでいた。
手にはなぜか父の刀が握られている。
後ろを振り返って見れば、
化け物が塵になって消えていった。
私が斬ったのだろうか。
腕には重さと痛みを感じるけれど、
何も覚えていなかった。
そのことに驚いたが、
それよりも頭が動き出したことで
体が既に限界だったことに気づき、
同時に意識がプツンと切れた。

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