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どのくらい寝ていたのだろうか。
まだ空は暗く、
月の光が異様に明るい。


家の外の騒がしさと
誰かの悲鳴に意識が覚醒した。



何事かと飛び起きれば、
今まで見たことのない、
怖い顔をした父と目が合い、
身を隠して絶対に外に出るなと
私と母に言ってから
刀を片手に家を飛び出して行った。


母と呆然と顔を見合わせていると、
隣のおじさんが家に駆け込んできて、
化け物が村を襲って、
今、父が戦っていると教えてくれた。

頭では理解できない内容だった。
化け物とはなんだ
父が戦っている?

私の思考が
行ったり来たりしているうちに、
化け物からの場所は
この家が一番遠いという情報を
おじさんから入手した母は、
すぐにここを避難場所にしようと
準備を始めていた。

隣のおじさんも
家を避難場所として貸してくれるようで
どんどん人が集まってきている。

子供の泣き声
人々の動揺、恐怖、不安が
空間に立ち込める中、
私は密かに家を出て、
父の戦場を建物の影からうかがっていた。


何か夢を見ているようだった。
それも悪い夢を。

二足で立ち、
二本の腕が伸びている
目は顔の正面に付いていて、
着物のようなものも着ている。
まるで人間のような姿形だ。
だが、明らかに人間ではない
悍ましい空気を纏っていた。

周りには
気を失った子供を
抱き抱える母親
泣き喚く子供
恐怖に身を寄せる老夫婦
足を引きずる男性
倒れた男性に声をかける女性
傷を負って倒れる人々
逃げ遅れている人がたくさんいた。


その人たちを庇うかのように
父は一人でその化け物と向き合っていた。

動きを目で追うのが精一杯なほどの速さ。
父の刀は月が反射しているのか、
刀自身が光っているのか、
青い光を放っているように見えた。

瞬時に理解する。
これが父の仕事なのだと。

化け物への攻撃は当たっている。
けれども、戦えば戦うほど
攻撃が遅くなっていくのは父で、
体も周りの地面も赤く染まる一方だった。

手も足も身体中が震え、
嫌な汗をかいていた。
内臓が捻り潰されるように痛く、
息も上手く吸うことができない。
視界も暗く狭まって見え、
立っているのでさえ辛い。
頭の中にあるのは恐怖だけだった。



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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:雨橙 | 作成日時:2022年1月18日 18時

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