爆豪さん ページ8
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｢すみません、タクシー時間かかっちゃって｣
｢……いい｣
｢…………｣
き、気まずい。
爆豪さんはきっと無駄な話は嫌いなタイプだ。
長年の経験から分かる。だからこそこの広いお店に2人っきりの空間が気まずいのだ。
｢オイ｣
｢あ、はい｣
爆豪さんが急に立ち上がり私を見つめている。
｢飯行かね？｣
｢え…………今からですか？｣
｢呑み足りねぇし、腹減った｣
ど、どうしよう。
アフターとか面倒臭いし、今日ショーパンに半袖のTシャツだし
確かにお腹すいたけど……
それにお客とアフターはしないって決めてるし
けど……今日助けてもらったし、お礼も兼ねて奢ろうかな
｢分かりました。着替えてきますね、お店の外で待っててください。｣
Aは着替えを終えて店の裏口から外に出た。
そこには帽子をかぶったお洒落な爆豪さんが居た。
(かっこいいな………)
｢行くか｣
｢あ、はい｣
爆豪さんが何処でもいいと言ったので、私が仕事帰りに良く行く焼き鳥屋さんにやってきた。
大衆居酒屋ではなくカウンターのみで、マスターとママが2人で経営しているのだ。
｢こーゆう所は来ないのかと思った｣
｢え、何でですか、めっちゃ来ますよ｣
夜のお店やってる奴は高級な所しか行かねーイメージだ。どうせちょっと高めの居酒屋行くんだろうな。って思ってたって言われた。
そりゃそーか、カウンターの居酒屋に連れてこられたらヒーローもビックリか。
｢もしかして高級な所の方が良かったですか？｣
｢いや、ココいいな｣
少し微笑む爆豪さんにドキッとしてしまった。
なにより自分の好きなお店がNo2ヒーローに良いと言われたのだ。
ニヤつく顔をしていると｢んだよ…｣っめ睨まれてしまった。
けど私には分かってしまった。
照れ隠しなのだと。
｢やば、イッキとかしてたしお酒回るの早い｣
爆豪さんがトイレに立って行った時点で自分のお酒の回りの速さに嫌気がさした。
これ以上呑むと迷惑かけちゃうな。
ケータイでタクシーを呼ぼうと電話すると｢すみまけん、1台しかだせません｣と言われてしまった。
かなり混み合ってるらしい。
まぁ、爆豪さんにタクシー使ってもらって私は歩くか。なんて考えていると爆豪さんが戻ってきた。
｢タクシー呼んでおきました｣
｢おう｣
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作者名：ちゅん
| 作成日時：2021年6月13日 23時
