助けてもらった貴方 ページ3
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｢どけええぇぇえええええ！！！！！｣
顔面を真っ赤にして必死にこちらに逃げてくる牛のような人間。(あ、動けない…)人は恐怖を体感すると動けなくなるものだ。
もしかしたら死ぬかもしれない。
そんな気持ちさえ出てくるくらいには動揺している。
Aは死ぬっ。と思った時には目を閉じた。
するとガシッと勢いよく私を掴んだ人は｢死ねぇぇぇぇ！！！！｣と大声で叫びながら犯人を爆破していた。
(し……死ね……？)
恐る恐る目を開けるとクリーム色の髪が目に入った。ツンツン頭でいかにも悪人そうなヒーロースーツに身を包んだ人が私を抱きかかえていたのだ。
誰なんだ。この人って思った矢先自分が宙に浮いているのが分かった。怖くなり思わず彼のヒーロースーツを握ると、その恐怖を読み取ってくれたのか彼はもう一度しっかりと私を抱き直してくれた。
｢あ、ありがとうございます｣
｢んなとこでチンタラしてるから巻き込まれるんだ眼鏡女！！！しっかりと逃げろ！！危ねぇだろうが！！｣
地上に降りた瞬間彼からの説教？が始まったのだ。
(なんでこんなに私は怒られてるんだろう…)なんて不思議な顔をして目の前の人を見つめる。
｢チッ｣という舌打ちが聞こえた。
たぶん言ったことに後悔しているのだろう。この仕事をすると人の気持ちが分かる。
この人は多分感情表現が苦手なのかもしれない。
｢助けていただいてありがとうございます。流石ヒーローですね。本当に死んだかと思いました。｣
｢俺が居なきゃ死んでたんだよ！！！気をつけろ眼鏡女！！！｣
そう言って爆発を繰り返しながら空へ消えていった。
なんか変な人だな。と思いながらもヘアセットの美容室に向かって歩き出した。
________美容室
｢Aいらっしゃい〜、今日はどうするのぉ？｣
ゴリッゴリの坊主でオネェ口調のまさし君
マサコって呼びなさい！っていっつも怒られるけどこの人の腕はピカイチだ。
｢んーー、今日はオレンジのドレス着る予定だからハーフアップして巻いてもらえる？｣
｢あら、オレンジなんて珍しいわね｣
｢今日ヒーローに助けられたんだけどそのヒーローのコスがオレンジだったのよ｣
｢まっ、恋！？恋なのね！？｣
｢あはは、恋じゃないよ。ただ助けてもらったの初めてだし、そのヒーローのコスの色と同じにしようかなって｣
｢まかせてー！しっかりと可愛くするわ！！｣
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作者名：ちゅん
| 作成日時：2021年6月13日 23時
