6欠片 ページ8
「...誰?」
夜中、自室の扉がノックされた。
コンコン、とか弱い音。
「...入ってもいいかい」
扉の向こうからは零夜の声が聞こえてきた。
眠っていたのだろうか、声が少しふわふわしている。
「どうぞ」
扉を開けた途端、私は零夜に抱き着かれる。
その拍子に、手に持っていた資料を床にばらまいてしまった。
「...零夜、どうしたの」
「...」
彼は時々、こうして急に部屋に来ることがある。
そのたびに私は何も聞かず、背中をさすって彼を落ち着かせる。
大丈夫だよ、私はここにいるよ、って。
かつての私が自分の存在意義を疑ったとき、誰かが傍にいてくれるだけで少し胸のつかえがとれる気になった。
彼にも効けばいいのだが。
「...夢を見た」
「どんな夢」
「.........チャネリングに失敗したんだ」
「うん」
「...目を覚ましたら、誰からも忘れられていて」
「...」
「......寂しかった」
彼も、夢を見る。
夢は残酷で、自分が恐れているものを平気で取り出してくる。
私は彼を助けられるのだろうか。
「...心配しないで。私はずっと―」
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作者名:夜蒼空 | 作成日時:2020年4月20日 10時