3欠片 ページ4
ラウンジには、大きなソファーが一つある。
他にもいくつか小さな椅子があるのだが、どうもこのソファーはとても座り心地がいいのだ。
.....と、私は思っている。
私はバトルが無いときは、大体ソーンと遊ぶか兄さんとお茶するか、このソファーに座って本を読んでいる。
恐らく三人がけだろうか。
小さい子たちが座れば四人座れるくらいの大きさ。
今日は二人ともバトルに出向いているので、私はそのソファーで魔導書を読んでいた。
転移魔法、少し苦手なんだよな.....
本を熟読していると、いつも気付かないうちに誰かが隣に座っていることがある。
今日は誰が隣にくるだろうか。
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「.....あ、Aおねえちゃんだ〜!」
「コクリコちゃん!」
しばらくすると、コクリコが私の隣に座った。
手には何やら本を持っている。
コクリコちゃんも読書するんだ.....可愛いな。
「.....ん〜と.....?」
絵本のようだったが、彼女の年齢にしては少し文字が多いようだった。
「.....読んであげようか?」
「!!いいの!?」
嬉しそうな顔するなよ.....照れちゃうよ.....
絵本を読んであげたあと寝てしまったので、彼女の部屋まで連れて行ってあげた。
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コクリコちゃんの部屋から戻ってくると、そこには人の影があった。
「.....あれ、ルチアーノさん」
「.....ああ、Aか.....済まない、お前が使ってたみたいだな」
「いえ、お気遣いなく.....あ」
彼の頭上に目をやると、奥さんが笑顔でこちらを見ていた。
私って見えるんだっけ.....
『いつも夫がお世話になってます.....これからもよろしくね』
「勿論ですよ」
「誰と会話しているんだ」
奥さんはそう言い残すと、あっという間に姿を消してしまった。
きっと、ここの住人皆に挨拶しているのだろう。
「何をしているんですか」
「ああ、武器の手入れをしようと思ってな.....ところでAはいつも、何の武具を使っているんだ?」
「私は魔術で戦うので、魔法石を携帯している感じですかね.....よければお見せしましょうか?」
ルチアーノが興味を持ったようなので、私は彼に魔法石について説明した。
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ルチアーノがバトルに向かい、ラウンジにはまた静かな空気が流れだした。
そういえば全然読めてなかったな.....
また魔導書に目を落とす。
すると、視界が真っ暗になり、同時に冷たい感触が目の周りに感じられた。
「.....だーれだ」
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作者名:夜蒼空 | 作成日時:2020年4月20日 10時