【＃コンパス】氷砂糖のような (ページ47)

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氷砂糖46つページ47

「目を覚ましたのはとても嬉しいんだけど.....僕たち、voidollから全部聞いたんだよね。」

多分Aちゃんが目を覚ましたのも、それを思い出したからじゃないのかな？
.....なんて。

皆の歓喜ムードが落ち着いたころ、マルコスがそう切り出した。
もう既に皆は事情を聴いたらしくて。

「.....何故か零夜とアダムだけが覚えてたらしいんだけど.....どうしてなの？voidoll」

それを聞いて私は驚いた。
ここに来た時.....既に兄さんは覚えていた？

そしてすぐにvoidollが現れ、私たち全員に説明した。

このシステムに侵入者が入ってきて、たまたま通りかかった私にウイルスの入ったデータを、管理人室の隣にある「情報ステーション」という場所に運ばせようとしたこと。

侵入者の存在に気が付いたvoidollは私からデータを回収しようとしたが、それが相手にバレてしまいウイルスをその場でばらまかれたこと。

そのウイルスを直に受けてしまった私はバグを引き起こし、意識不明になってしまったこと。

.....システムが誤作動を引き起こし、私のデータの一部が破損してしまったこと。

私はこのデータ上では復元不可となってしまい、ここで皆と過ごした記憶でバグを覆いこんで、そのデータを削除されたらしい。

その結果私は現実世界に戻り、普通に生活を再スタートさせた。

また、ここにいた住人からも私のデータを消去し、最初から私はいなかったことにされたという。

.....ただ、兄さんと零夜は記憶を消去されるのを拒んだそうだ。

零夜は消去される前に別の世界線へ逃げたらしいけど。

.....そして、無作為に選出されるヒーローに、偶然私がまた選出されてしまい。

私が昔の姿から変わるように促してくれたのは、私の気持ちだけでなく、バグの影響を心配してのことだった。

だからここに来た時、しばらく足が痛かったのかな？

「.....私ハ、マタコノヨウナ事態ヲ引キ起コス事ガナイヨウニ.....ヒーローノ皆サンノ安全ヲ第一二シタイ。デスカラ、Aサン.....ココニ残ルカドウカ、貴方自身二決メテ頂キタインデス」

voidollはすべてを話し終わったあと、静かにそう言った。

自分は管理人失格だ、なんてことを言って。

そんなわけない。
現に、私のことを思って言ってくれている。

彼女ほどやさしいロボットなんているのだろうか。

「私は.....」