氷砂糖35つ ページ36
「兄さん」
「..........A.....?」
俺は.....夢を見ているのだろうか?
目の前には眠っているはずのAがいる。
「わ、わあ!?急にどうしたの兄さん?」
Aは昔のような姿で、見ていると胸が締め付けられた。
つい反射的に抱きしめてしまう。
これは、
.....過去の出来事だと、今気づいた。
「ソーン、楽しみだね」
「ああ」
「一緒に戦えるのかな」
「.....ああ」
覚えている。
俺はAと、以前こんな会話をした。
「兄さんは本当に寂しがりやだなあ、不思議だね」
ふっと微笑むAは、今にも消えてしまいそうで恐ろしくなった。
―このまま離さなかったら、あの時のようなことは.....
「に、兄さん.....そろそろ離してよ.....僕、頼み事をされているんだ」
「頼み事」。
嫌な響きに思えてくるのは気のせいじゃないだろう。
「..........A!」
やはりこれは夢だ。
しかも過去をもう一度.....録画されていたかのように流される。
離したはずのない腕は離れ、Aはすでにその「頼み事」を済ませようと何処かへと向かっている。
その先は。
本能が見てはいけないと警鐘を鳴らしている。
駄目だ。
俺は目を背けないと決めたんだ。
「―!」
その目に映ったのは―
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作者名:夜蒼空 | 作成日時:2020年3月29日 14時