氷砂糖3つ ページ4
「オヤ、モウ タイメン シマシタカ」
無機質な声が響く。
「voidoll殿......これは一体」
「兄さんそろそろ離してくれないかな」
「彼女ハ本日ヨリ、コンパス ノ ヒーロートシテ 実装サレルコト二ナリマシタ」
唖然としながらも兄さんは、みんなの前だというのになかなか離してくれない。
僕の声ではっと我にかえり、恥ずかしそうに顔を赤らめながら僕を離してくれた。
「......久しぶりだね、アダム兄さん」
やっと視認できたアダムの顔を、しっかりと見つめてそう言う。
この瞬間をどれだけ待っていただろうか。
急に兄さんがいなくなって。
ソーンが兄さんのあとを追って。
本当は、もっと早くこれたはずなんだけど。
僕だって、ソーンと一緒に来たかったけど。
「......Aが無事で本当に良かった」
「あの戦い以来......かな」
ヴィオレッタが雰囲気を察して、全員を別の場所に移動させた。
気を使わせてしまい申し訳ない。
「お前......足は、」
質問の意図を汲み取った僕は、頷いた。
「大丈夫。ここまで歩いてこれたのが証明だよ」
「......それもそうだな」
安心したように優しく、悲しげに兄さんは微笑んだ。
ああ、あの時と全く変わってないなあ、兄さんは。
ずっと変わらない。
「......ソーンは?久しぶりに会いたいな」
「ああ、ソーンなら今バトルアリーナに行っているはずだ」
「そっか」
変わってしまったのは私......いや、僕だけなのかもしれない。
「A」
「どうかしたの兄さん」
「......無理はするなよ」
わかってるって。
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作者名:夜蒼空 | 作成日時:2020年3月29日 14時